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甘い眩暈
【女性向け 官能小説】

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甘い眩暈-1

初めては大学1年のとき。 高校時代の友達のメル友。 「何、かっこいいじゃん」 他の友達と騒ぐくらいに甘く魅力的だった一つ上の彼。 再会したのは大学1年の夏。そこで初めて言葉を交わした。 初日なのに夜中まで語ったり、2日目には冗談で愛してると言われ、3日目には惚れないように必死だった。 1ヵ月前に付き合ったばかりの彼氏と別れた。 直後に元カノと付き合いは「多智(たち)、元カノと戻ったらしいよ」 別れてすぐのことだった。 知らないうちに私も情緒不安定だったんだろう。 4回目に会ったとき。言葉を交わすようになってから1週間ほどしか経っていなかったのに。 私は彼と、想良(そら)とセックスをした。 友人を交えて彼の家で飲んでいたとき。 「妃世(ひよ)ちゃんマジ可愛いね」 私が連れてきた友達を、想良はすぐに気に入った。 嫉妬してる自分を気付かれないように装いながら、私は心の中で泣いていた。 「何ぼーっとしてんの、結芽(ゆめ)」 密かにテンションの下がっていた私に声をかける想良。 お酒のせいか、いつもよりさらに甘い声に体が少し反応する。 「別に、何が?」 少し素っ気なく答える私に、 「楽しまないならチューしちゃうよ?」 「意味解んないし。やれるもんならやってみなよ」 強がってみても、ほんとに想良の顔が近づいてくると思わず顔を背けてしまう。 「うわっ、かわいー。」 からかわれてるのに、嬉しくて仕方がなかった。 このやりとりを何回か続けた頃。 電話やらトイレやらでみんなが席を外し、部屋には私と想良の2人きりになった。 「なんか肩凝ったなぁ」 嘘。凝ったことなんてない。 「マッサージしましょうか、お姫様」 ただ触れてほしかっただけ。 背後から肩を揉んでくれる。 想良が触れた場所から神経がざわめき、その心地よさは波紋のように全身に広がる。 「お願いね、じーや」 「…お前、そんな生意気な口きくならチューするよ?」 誘導尋問したつもりだった。 「やれるもんならやっ…」でも、されたのは私の方。 「んっ…」 そのまま後ろに引っ張られ、彼にもたれかかるようになった私に想良は口付けた。 舌が入ってくる。嫌悪感はまったくない。 元彼と似た味がして、切なさは増した。 一瞬のような、永遠のような時間。 ガチャ。 「う〜ん、酔った酔った!」 妃世がトイレのドアを開けた。 慌てて我に返る私たち。 「ん?二人なんか近くなぁい?」 「マッサージさせられてたの。強制労働だよ…妃世ちゃん助けて」 「なんか…やらし〜!」 二人の会話に、まだ夢見心地な私は入れなかった。 「妃世もくっつきたいよー」 そういいながら、体勢を変え壁にもたれかかった私の膝に頭を乗せた。 部屋に戻ってきたほかの友人も、みんな睡眠モードに入っていく。 一人、眠れない私。 さっきの甘いキスのせい。 そして、ブランケットの下、密かに捕まった掌の温度のせい。 「あ…あたし飲み物買ってくる」 頭を冷やしたかったから。 ううん、ほんとは二人きりになりたかったから。 「道解んないでしょ?俺も行くよ」 さっきの続きをしたかったから。 「俺さ、」 家を出た途端、指をからめとられた。 「友達とでもこういうことできる人だよ?」 見つかったんだろうか。 私の中に生まれはじめた恋心。 でも、私は好きじゃなきゃできないよ。 ほんとは、私を好きな相手とじゃなきゃしたくないよ。 でも、言えなかった。 眩暈がするほどの甘美な空気をまとった彼を、もっと長く、もっと近く感じたかったから。 路地から通りに出る直前で、半ば強引にキスをされた。 思わず逆立つ全身の神経。 すべては、彼を感じるために。 スポーツドリンクを買った帰り道も、彼は手をつないできた。 前から来る通行人。彼から見たら私たちは恋人同士だろう。 こんな夜中に手をつないで寄り添い歩く自分達を客観的に見て、私は思わず繋がった手を二人の背後に隠した。 「何、恥ずかしいの?」 ほんとだ。何を恥ずかしがってるんだろう。 「かわいー」 彼が私に言った。 妃世に言うのとは別のニュアンスで。 でも気分は悪いはずがない。


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