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恋に恋するお年頃!?
【学園物 恋愛小説】

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恋に恋するお年頃!?B-2

授業があって学校にさえ来れば、佐藤がいる進路室に行く理由なんて、いくつでも作ることができる。
…と言うか、最近では理由もないのに進路室に入り浸っている状態。
それどころか、1年生の恵が進路室にいることが、もう当たり前になっていて、誰も疑問に思っていないようなのだ。

でも、夏休みが始まれば、今までのように毎日学校に通う事はできなくなるだろう。

「来てもいい。」とは言ってくれたが、真に受けて会いに行けば、迷惑をかけ愛想を尽かされてしまうのではないか?と不安になる。

会いたいけど、会いに行けない……。
この二つの想いの狭間で、恵の心は揺れ動く。


落ち込みがちな恵を心配して、美智子と雅美がカラオケに誘う。
2人の気持ちは嬉しいが、今日が過ぎれば少なくとも数日間は佐藤に会うことができない。
恵は2人に謝罪しつつ、佐藤のいる進路室へ向かうのだった。



進路室は、普通の教室をロッカーで区切り、生徒用に大学や専門学校・就職関係の資料が並べてある部屋と、職員用に机が並べられ、説明などで訪れる来賓と話しをする部屋に分かれている。
ちなみに、授業中以外、佐藤はこの部屋にいることが多い。

2つの部屋は、中でも行き来ができるようになっているが、生徒は"基本的に職員用の部屋には入らない"というのが、暗黙の了解である。

しかし恵は、全校生徒が知っている暗黙の了解すらもう守っていない……。
このことは、以前恵が接客用の机で勉強していたことからもわかるだろう。


いつものように、恵は職員用のへやに入っていく。

「あらっ!?佐藤さんなら、今席外してるよ。」
ドアを開けると直ぐに声をかけられた。

声をかけてきたのは、佐藤と同じ進路担当の筒井。
教科担当は生物。
1年は、地学と物理を習っているので、直接関わったことはないが、毎日のように進路室に顔を出しているうちに、何だか仲良くなってしまった。

恵の気持ちに気付き、さり気なく2人きりにしてくれるなど、恵にとっては良きお姉さんのような存在。

「じゃあ、ここで待たせてもらうね。」
接客用のソファーに腰を下ろす。

先生と生徒がこんな風にフレンドリーなのは、この学校の特徴なのだろうか?
恵はもちろん、他の生徒でも先生に対してあまり敬語を使っていない。
生徒の言葉遣いを先生達も、たいして気にしていないようだし。


「夏休みはどうするの?佐藤さん、一応毎日学校に顔出すみたいなこと言ってたから、会いに来るんでしょ!?」

まさに今一番の悩み事。
先生の立場から答えてもらえれば、このモヤモヤした気持ちもスッキリするかもしれない。


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