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失われる僕。
【エッセイ/詩 恋愛小説】

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失われる僕。-1

昔観た、
宅配する魔女のオハナシ。
ねぇ、赤いリボンのキミ。
僕にあの娘を、
届けておくれ。


扉がバタン。
閉まって。
何もない、四角い部屋で、
僕はまたひとりぼっち。
鳴らないベル。
待ち焦がれる。


誰とも交わらない時間を
うつらうつら、過ごす。


白昼夢。
キミが、通り過ぎて、
振り返るのは、僕。
あっという間に、
見えなくなって、
すべてが、
嘘だったみたいだ。


ねぇ、赤いリボンのキミ。

僕に素敵な贈り物。

届けておくれよ。


咲いた花、濡れて
朽ちて、錆びて。

全てがモノクロの世界。

イロトリドリな感情。
鮮やかな唯一を、
僕は、
繋ぎ止めておけなくて、
重力に逆らえず、
最後の一雫まで、
堕ちる。
堕ちる。


そろそろ、
溺れてしまいそうだよ。
もう、上手に泳げない。

そろそろ、
消えてしまいそうだよ。
上手に思い出せないんだ。


何もない、四角い部屋で、音もなく、錆付いて、
一人、朽ち果てていく。


ねぇ。
赤いリボンのキミ。


僕に、あの娘を届けておくれ。

でなきゃ、
僕は、
誰にも知られず、
この四角い部屋で、
どんどん、
失われてしまうよ。

失われて、しまうんだ。


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