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愛は冷静の中に
【二次創作 恋愛小説】

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愛は冷静の中に-2

順正へ


突然手紙を送り付けて、申し訳ないと思ってる。
ただ、順正にごめんなさいと言いたくて、それだけのために手紙を書いたの。
実はね、私の30歳の誕生日。私もフィレンツェのドゥオモのクーポラを眺めていたわ。最初は、登ろうと思って行ったの。でもね、ドゥオモを見上げる石畳の道を歩いている時に貴方をドゥオモの上で見つけてしまった。
私は、過去と決別するためにドゥオモに行ったの。だけど、同じように貴方も来ていた。
だからね順正。
貴方に謝らないといけないわ。
私の30歳の誕生日の日まで愛していてくれた順正。
ごめんなさい。
これからも、元気でね。


あおい

僕は、手紙から目を離す。あの日、ドゥオモから眺めた町並みの中に、あおいはいたのだった。
なんとも言葉には言い表せない感情が込み上げてくる。
嬉しさでもない、悲しさでも怒りでもないそれは、僕をつき動かした。

僕は、ジョバンニに抵当な言い訳を言うと工房を飛び出した。
銀行で有り金全部をおろすと、僕はミラノ行の列車に飛び乗る。
手には、さっき駅前の代理店で買ったミラノ発ニューヨーク行きの飛行機のチケット。

僕は、流れるように変わる車窓に目をやる。
さっきから僕の顔を眺めている女の子に胸ポケットに入れっぱなしだった飴玉をやると、再び手紙に開く。
さっきから何度も読んだ短い手紙。
確かめずにはいられなかった。いや、確かめずにはいられない。たとえそれが二人に破滅をもたらすとしても。
僕はそれでいいと思った。
情熱に燃える僕は、今まで本当の愛を知らなかったのかも知れない。
愛は、冷静の中にあった。

電車は、スピードをあげる。車窓に見える町並みは、葡萄畑に変わっていた。






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