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「最後の言葉」
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「最後の言葉」-1

ガタンゴトンガタンゴトン
8時5分発、前から3両目、最初のドア。私は、一月前からこの場所と決めている。
毎日に物足りなさを感じて。時は私を置いて、勝手に過ぎて行く。楽しみなんて何も
ない。
ある1つの事を除いては…。
今日もカレは、いつもの場所でドア際のポールにもたれ掛かり、眠そうにしている。


プシュー

ドアが開き、客が乗ってくる。もう既に私が動ける隙間はない。今の駅から乗って来
た1人の女の子が、カレに話し掛ける。

「おはよう!ねぇ、昨日どうして先帰っちゃったの?」
『ん?』
「んっ?じゃないわよ!はっ?覚えてないのぉ。やだぁ。で、今日は、どこ行く?今
日は私ね…」

(…今日はA女高校かぁ…おとついは、K女学院だったはず……3、4、5、6??
1ヶ月で6人かよぉぉ?!はっ、まったく一体何なのあの男?!見る度、違う女の子
連れて?!最低!遊び人!!でも…、ねぇ、気になる。今日もキレイな顔して。ふぅ
…。)
私は、真由。私立の有名進学女子中学校に通う3年生。毎日、同じ駅のあのカレの事
が気になって、同じ時間同じ電車に乗っている。

私は1ヶ月前のある日、朝練の為、いつもより2本早い電車に乗った。
車両が揺れ、突然ガコッっという音がした。音のする方を見ると、そこには、ポール
にもたれ掛かり居眠りをしていたカレがいた。カレは、電車の強い揺れで、荷物棚に
頭をぶつけた様だった。頭を摩りながら顔を上げた、その時、私と目が合った。カレ
は、頭を摩りながら、私に向かって、恥ずかしそうに照れ笑いをした。
満員電車の中、私はその顔に一目惚れした。

それから、これが毎朝の日課となった。同じ時間、同じ場所、見るだけの恋。


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