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仮面カタルシス
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仮面カタルシス-3

「あ、あの!私は」
「大丈夫ですよ、金銭などという些細な物を貴方からいただくという事はありません。」
私の声をさえぎる。
穏やかな声に有無を言わせないものがある。
「そのお召し物では中に入ることはでき来ませんね。ここの物をお貸ししましょう。」
先ほど男の手にあったはずのモノはすでに無く、真っ赤なドレスを抱えており、それを私に手渡す。
 
私の手には真っ赤なドレスそして、白い仮面。
 
 
こちらへ、と言って横の部屋に通された
そこは人一人入るぐらいのスペースで正面に大きな鏡。ここで着替えろということらしい。
たくさんの疑問が頭を埋める。
恐怖からか、どうしてもすぐに逃げろ、という理性に従うことができなかった。ゆっくりと、今着ている服を脱ぐ、ドレスに袖を通し、そして、視界がせまくなる。
鏡を見ると、琥珀のような白い仮面で顔の半分を隠し、光沢を含む真紅のドレスを身にまとった女が立っている。
私…なの?
 
 
 
部屋を出ると、男が待っていた。
「とてもよくお似合いです。どうぞ、正面の扉へお進みください。」
その声はどこが楽しそうに聞こえた。
 
 
 
大きなホールに出た。
ありえない。
天上は空のように高い。
どこもかしこもガラスの照明でてらされて、宝飾された壁がきらびやかに輝いている。
そこには、たくさんの人。

中央で、二人ペアとなり踊っている人達。
自分の出番を待つかのように、その傍らで眺めている人達。
横に並べられたテーブルを囲むように談笑している人達。
奥で、楽器を演奏するオーケストラの人達。
 
全ての人が、仮面をつけている。そして私も。
 
中央を避けるように奥へ進むと、近くのテーブルにつく女の人達の声が耳に入ってきた。
「私のところにもよ、そうゆう人」
「嫌ですよねー、どうせ作っているクセに」
どこか怒っているような赤い仮面をつけている。
どうやら、日頃の愚痴を話しているみたいだ。
この人達はどうやってここに来たんだろう。
いや、どうしてここにいるんだろう。
生きている辛さをここで話して、晴らすためだろうか?
それとも、新しい社交の形としてだろうか?
いくら考えても、どれも違う気がした。
 
ちょうどその時、私の目の前に豪勢な衣装で着飾った男の人が私の前で止まった。
群青色の仮面、表情はどこか力強い。
「私と踊りませんか?」
私に手を差し出す。
まるで映画のワンシーンみたい。
 
「お断りいたします。」
赤いドレスを着た女はそう言った。
優雅に、はっきりと。
そうですか、と言って仮面は去った。
空気が変わる。
周りの目がこちらに集まる。
断ってはいけなかったのかもしれない。
強い非難の目だ。
後ろにいた女の人が近づき、話がかけてくる。
「あなた−」

私は一目散にホールの扉へ向かった。

少し息を切らしながら扉につく。
私は最後に後ろを振り向いた。
 
−全ての『顔』が私を見ていた
 
すぐにホールを飛びだした。


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