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刃に心
【コメディ 恋愛小説】

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刃に心《第23話・勝利を手にした敗北者》-4

◇◆◇◆◇◆◇

ガラッ。
教室の扉を勢いよく開き、銃口を隅々まで向ける。

「異常無し」

1人がそう確認の言葉を告げると、他の者は小さく頷いて、次の教室に向かう。
次の教室で同様の確認を行った時、廊下の暗がりから眞燈瑠が飛び出してきた。
眞燈瑠は飛び出した体勢のままでサブマシンガンの引き金を引いた。
しかし、相手は素早く教室に隠れ、銃弾の雨をやり過ごす。

「くぅ〜、やっぱりスコーピオンは使いやすいッスけど…」

弾幕が止んだ途端、今度は教室から相手が飛び出してくる。

「当たらなきゃ意味無いッスね」

口ではそう言っているが、眞燈瑠自身、今の攻撃が通用するとは思っていない。
今のは完全に挑発。確実に仕留める為の布石である。
身を翻し、眞燈瑠は走り出した。
相手もその後を追う。

(掛かったッス!)

内心で歓喜の声を上げた。
相手が見失わないような速度。だが、追い付かれない速度を保って眞燈瑠は走ってゆく。
廊下を曲がり、教室へと駆け込む。
相手もそれに続いた。
廊下と同じく、教室の中は薄暗い。
むしろ、月光が廊下側から射し込んでいる分だけ、教室の方が闇は深い。
その中で眞燈瑠が窓を背にして立っていた。
相手は入り口付近で扇型に構え、素早く銃口を向ける。
───その刹那。

背後に二つの影が降り立った。
その気配に気付き、相手が振り返ろうとするが、既に手遅れ。
まず、引き金に掛けた指を引く間もなく、左右の者達の首筋に刃が走った。
続けて、暗がりから楓が中央にいた二人に襲いかかる。
闇夜に白銀の線が踊った。
チン、という鍔鳴りが短く終わりを告げる。
ドサリ。
崩れ落ちる4人。
数秒の間、刃の柄を握っていた疾風達はゆっくりとそれを納めた。

「とりあえず、これで数の上じゃ有利になったか」

疾風が呟いた。

「うむ。これで何とか勝機が見えれば良いのだが…」

しかし、この作戦は今後は通用しそうに無い。
霞とその両サイドを固めるあの二人はもっと慎重に行動するだろう。

「そういえば、この人達って誰なんッスかね?」
「確認した方が良さそうだな。そこから、まだ判らぬ二人を判断できるやもしれぬ」

そう言って楓は動かなくなった者達のフードを外した。

「───!!」

思わず、目を見張った。
フードの下の顔はこの日ノ土高校の生徒のものだった。
しかも、夏で引退した各部の三年生達。それぞれがエースクラスである。

「…えげつない」

疾風は苦々しげに言った。

「使えるものは何であろうと、誰であろうと利用するという訳か…」

楓も静かにまたフードを掛け直す。

「……兎に角………今は移動するべき…」
「まだ終わったわけじゃないッスからね」


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