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ツバメ
【大人 恋愛小説】

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ツバメG-1

「椿芽ちゃんって名前可愛いね」
『あ、どうも』
「まあそう固くならずに!楽しもう」
『あ、は、はい』

あたしは初めての環境にまだ慣れずにいた。



第八話
合コン事件



あたしは、OL仲間に誘われて人生初の合コンに参加していた。
といっても、緊急で欠員が出たための補充要員なんだけど。

『はあ…』
「綾瀬さん、相手は医者と研修医だよ!エリート彼氏ゲットのチャンスじゃん!」
『うん…』
「じゃあ、先に戻ってるね」
仲間はそう言うと、トイレでの作戦会議を終えて席へと戻っていった。

もちろんよくわからないから最初は断ったけど、燕の“趣味”を一度は体験するのもいいかなと思い、やっぱり参加したのです。

でもやっぱり失敗。
全然いいもんじゃなかった。

男も女も変に媚びてて、こんなんじゃ恋愛なんてできないと感じた。

まあ、ケラケラ笑う関西弁のお医者さんは面白かったけど。
名前はなんていったかな?アルプスの少女?

『よし、そろそろ戻ろ』
気合いを入れてトイレを出ると、思いがけない人物に遭遇した。

「椿芽、ちゃん……」
『あ……』
「久し振り!元気にしてた?」
『うん!大学以来だね!』
「なにしに来てんの?あ、もしかして合コン?」
『うん、頼まれちゃって』
「そっか、それならあっちにつ………」
『え?』
「いや、なんでも」
『……そう?じゃあまた、今度三人で飲もうね』
「あ、ああ……また」

彼は茂庭桜実といって、大学時代の友人である。
ちなみに燕の悪友で、燕を専門の道に引き込んだのも彼。

まあ彼は燕と違って誠実で全然いい人なんだけど。
『……』
彼はゆったりとした足どりで向かい側の男性トイレへと入っていった。





「はぁ……」
桜実はトイレの鏡の前でぼーっとしていた。

俺は、なんで咄嗟に“燕もあっちにいるよ”という言葉を飲み込んだんだろうか。

きっと椿芽ちゃんも喜んだろうに。

俺は……俺は……


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