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光の風
【ファンタジー 恋愛小説】

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光の風 〈影人篇〉-11

「ナル…私を許してくれるか?」

あの時、カルサが封印されてしまった場所に居合わせた兵士から聞いた。カルサは胸を剣で突かれて倒れたと。あまりのショックで目の前が真っ暗になった、しかしそれと同時に思ってしまった。これで彼も解放されたのではないのかと。

「私を許してくれるか?」

少しでも彼の死を願ってしまった、そんな自分を悔いてならなかった。

「貴方、どうしたの?」

今まで見たことのない老大臣の姿に事の重要さを感じた。辺りを見回し誰もいないことを確認する。

「誰もいないわ、大丈夫。言ってみて?」

ナルの言葉に落ち着きを取り戻し、老大臣は顔を覆った手を放した。いや、ナルが触れた手によって促された。

「今日の会議の後、陛下と話をした。サルスの状況改善を申し入れてみたのだ。」

しかしカルサは状況維持だと答えた、雷神の仕事があるため城を留守にするから代わりがいるのだと。老大臣は鮮明に記憶を甦らせながら話した。ナルは黙って頷いている。

「陛下は知っているのだろう。サルスの葬儀は表沙汰にしていない事を…だから。」

「国王代理として再びサルスの姿を甦らせるという事ね?」

「そうしてきっと…ご自分のお姿を消されるおつもりだろう。」

カルサの想いに二人は言葉を無くして立ち尽くしていた。彼はこの国から去ろうとしている、その事に気付いてしまったのだ。

ナルとは違い、老大臣は太古の因縁については何も知らない。ただカルサが闘いの中に身を投じようとしているのは感じていた。

「陛下はお優しい。全て自分のせいにして抱えこんでしまわれる。」

きっと国や城の守りを固めて、自分の役目を果たしてから去っていくのだろう。だからまだサルスを復活させないでいた。ある程度の基盤を作り、国の混乱も治まってから、あの時死んだのはサルスではなくカルサであったと。そう言うつもりだろうと老大臣は推測していた。

「ナル、貴方は知っているのだろう?陛下は一体何を抱えておられるのだ?」

何がここまで彼を戒めるのか、老大臣はそれが知りたかった。必死の眼差しで懇願してもナルは首を縦には振らない。

「駄目よ。貴方はそのままでいなさい。」

「しかし!」

「私は少し知りすぎたの。貴方はここに来てはいけないわ。」

その言葉を口にした時、ナルはこの上にないくらい切なげで、ども穏やかな表情を見せた。それは覚悟をしている印。

老大臣はそれ以上何も言えなかった。


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