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『永遠の恋人』
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『永遠の恋人』-1

「俺、生まれ変わっても…お前の恋人でいたいな…。」
突然、彼が静かに言う。
「何?突然…」
あたしは彼を見た。
「いや、今の幸せがずっと続けばいいなあ…って思ったんだよ。」
と、彼は笑って答えた。
それから、彼は3日後、交通事故でこの世を去ってしまった。

 あたしの名前は螢(けい)。今、彼氏・陽一(よういち)のお墓の前にいる。彼が好きだった百合の花を持って。
あたしは陽一が死んだなんて、信じられない…。今もその辺から笑いながら出て来るのを期待している…。が、彼はもうこの世にいない…。
「なんで…なんで死んじゃったの…。あたしを残して…陽一…。」
あたしの頬に涙が流れる。とめどない悔しさが込み上げてくる…。
「陽一…あたし一人で生ききれるほど強くないよ…。陽一と一緒だったから…」
あたしは陽一の墓の前に座り込む。
「あの…」
あたしに一人の青年が声をかける。陽一の弟さん、お葬式で見掛けた。
あたしは涙を拭き、彼を見る。
「兄貴の彼女の螢さんですよね?オレ、陽一の弟、密(ひそか)です。」
「どうも、螢です。」
あたしは涙目で笑って挨拶をする。
「じつは…兄貴が螢さんに渡すってオレに見せてたものがあるんです。今、持ってるんですけど…受け取ってくれますか?」
あたしは黙って頷く。
密は小さな箱と手紙を螢に渡した。
「開けて下さい。今の螢さんには辛いかもしれませんが…兄貴の想いです。伝えられないままじゃ、兄貴が可哀相すぎますので…」
あたしは手紙に目を通した。
“誰よりも大切な螢へ。俺は1番お前の事を愛してる。螢と結婚したいと思ってる。そして、生まれ変わっても、必ず螢を見つけて螢の恋人になる。だから…。”
手紙は途中で終わっていた。あたしは箱を開けた。中からは指輪が出てきた。
「兄貴、その手紙と指輪、螢さんの誕生日に渡すんだって張り切ってました。なのに…。」
密は悔しそうに顔をしかめた。
あたしは陽一のお墓の前に座った。
「陽一、聞こえる?指輪ありがと。あたしも陽一と結婚したかった。幸せな家庭作りたかった…。…陽一、生まれ変わったら必ずあたしを見つけてね…。今度は絶対一緒になろうね…。あたしも陽一のこと捜すから…。愛してる…」
あたしは陽一の墓の前で左の薬指に指輪をはめた。
「螢さん…」
あたしの姿を密くんは何とも言えない顔で見ていた。あたしは空を見た。
「ありがと…。密くんのおかげで気持ちに整理がでた。陽一の代わりに届けてくれてありがと。」
「いえ…」
「陽一はこの世にはいなくなっちゃたけど…あたしの中で永遠に生きるの、あたしは陽一を忘れない。」
あたしは強く言う。

そう、何十年・何百年先でも陽一と結ばれることを信じて…。
強い想いは願にかわる…。永遠の恋人…。



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