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五月、雨、君と夜と
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五月、雨、君と夜と-2




覚醒の時は意外と早く訪れ、まだ時計は12時あたりをさまよっている。たった数分間の睡眠だった。
なにか理由を感じる出来事。
僕はベランダに出て、ボンヤリと雨を見つめる事にした。





ゴロゴロ、ゴロゴロ、…ドカーン。
近くで雷が落ちた模様だ。
それでも僕の意識はそこには向かわなかった。 いつもなら、雷の音に驚いたり緊張したり、なにかと反応を示すのだろうけど。
今の僕の頭には、さっきの夢が意識の中心となっていた。

ひどく曖昧な白い女性。 それは弱さを象徴する様で、また優しさを象徴していた。
手を繋ぐ少女と父親。
少女には大きな不安が感じられ、父親には不関心が感じられた。
少女の顔だけはっきりしていて、それは君に、似ていたんだ。

ゆっくりと、しかし何回も、頭の中にさっきの夢が回想する。 悪い気はしなかったが、雨のニオイはそれを非現実的な物にしている様で嫌だった。
僕の中では何かが意味を持ちだす。 その何かがわからなくて、また夢を思い出す。

たまらなく曖昧な世界の中を





白い女性。
小さな少女。
不快感な父親。
曖昧な海。
雨の音と雷の光。
朝のニオイに勝る雨のニオイ。
コーヒー。
日曜の朝。
通学路の君。
自転車こぐ僕。
暖かい君の温もり。
情けない星。
たゆまぬ光達。

ひとしきり最近の偶像が、浮かんでは消えていった。 日常の中の非日常。 そんなものが、僕の世界には絶え間なく巡っているんだ。
君と僕と、雨の中を。
大人になるとたぶん忘れるから。

ピカッ!ゴロゴロ―
雷が再びけたたましく鳴くのを聞いて、僕は現実の中へと戻された。 部屋は暗く湿気で気持ち悪い。
なんとなく出かけようと思った。

雨の中を一人で。





雨は弱まる事を知らず、疲れ知らずの機関車の様にふり続けていた。 ザアザアと何か暖かい音を鳴らして水粒はアスファルトに落ちていく。
何かを肯定するように。 きっと意味のある音を聞きつつ僕は歩きだした。行き先などないけれどただ雨の中を歩く。
傘をさしてる手が冷たく濡れ、僕は生きてる事を実感した。 気持ち小さめな傘は、気休めにしかならないから。

雲から来る雨達は、ただ自分を自己主張してるみたいに見えた。


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