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レン
【二次創作 官能小説】

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レン-41

「データを渡す代わりに、彼女は死を求めました。俺の手で与えられる死を。」
『…そうか。』
ケイの表情には苦悩の色が浮かんでいた。
俺は二人の間に、どんな感情が産まれていたのかを知らない。
だがケイの手による死を選んだシェリル。任務の為にシェリルに死を与え、苦悩を味わったケイ。僅かな共に過ごした時間の中で、二人は確実に時間以外のものも共有していたのだろう。

静かさを保っていたイヤホンが再び音を発し始めたのは俺達がエントランスへと続くドアに手を掛けた時だった。
俺は社長の身柄確保の為に社長室へと向かい、ケイは外の戦闘への加勢と早坂の身柄を確保する手筈になっていた。

一度盗聴器に近付いた足音が再び離れると、盗聴器から少し離れた場所で声がした。
〈何処にいってたんだい?〉
フールの声だった。
距離感から察するに、どうやら声の主は広間よりも奥にある社長室の辺りにいるのだろう。
〈社長や専務達を殺したのはあなたね?〉
次に聞こえてきたのは玲良の声だ。玲良は一度広間を離れた後、再び広間へと戻った様だ。俺は玲良が戦線を離脱し、INCの部隊に保護されていてくれている事を願っていた。だがそれは叶わなかったらしい。
〈そうさ。もうこいつらは必要ない。〉
〈あなた達の目的はこの組織をのっとる事だったの?〉
俺は急いで広間へと向かった。
〈正しくは、この組織を潰し、アゲハや彼等と共に全く新しい組織を作り上げる事だけどね。〉
フールは玲良に本当の目的を告げた。
そして玲良を自らが組織する、新たなダークネス密売組織へと誘うのだろう。
〈その為に社長を殺したのね…。〉
友常と衛兵達を撃った銃声は社長の命まで奪っていたのだ。これで密造地の情報を知る可能性があるのはフールとアゲハだけだ。
〈レイラさん、早くここを出よう。〉
アゲハが言った。



〈組織の人間は誰も知らないが、建物の地下に緊急脱出用の通路がある。マンホールとつながっていて、外に出れるんだ。〉
フールがアゲハの言葉に付け足すように言った。
〈何故私にそんな事を話すの?〉
〈組織の命運は今日完全に尽きた。いつかこの組織はトラックジャック等の外部からの攻撃によって滅びるとは思っていたが、まさか警察がここまでつきとめるとは思えなかった。だが、新たな流通組織を作るには絶好のチャンスだ。俺達はここを爆破して脱出する。いっしょに来てもらいましょうか。新しい組織作りにあなたやアゲハは欠かせない。〉
俺はエントランスを走りながら、玲良の答えに耳を澄ませた。
〈いけないわ。〉
〈なぜ………やっぱり蓮を裏切れない?〉
〈蓮?あたしはずっと蓮を裏切っていたのよ。武器を捨てなさい。あたしは麻取よ。〉
フールは彼女の答えに笑いだした。彼女が司法機関の人間だとは、思ってもみなかったのだろう。
〈何を言っているんだ、レイラさん。俺は…。〉
フールの言葉が止まった。そして僅かな沈黙が流れる。
〈本当なのか?〉
やっと口を開いたフールの言葉には、怒りが感じられる。
〈本当よ。私の所属は関東信越地区厚生局麻薬取締部。〉
もし俺がフールの立場なら、俺は彼女を許さないだろう。
彼女の身を案じた。長すぎる広間までの道のりに苛立ちを覚える。
〈何でよ…。レイラさんが麻取…?レイラさんのならあたしの気持ちわかってくれると思ったのに!あたしと一緒で、女だからこそ可能な事が世の中にはあるってレイラさんも知ってるじゃない!!〉
アゲハが言った。


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