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レン
【二次創作 官能小説】

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レン-39

俺は男が引金に指をかける瞬間、身を低く屈めて男の左側へと走った。男の視線は俺の動きを見落とさなかったが、手中のウジーは全く別の場所に無数の弾丸を飛び散らせた。
そして発射の衝撃に体勢の揺らいだ男めがけて、俺はVrを撃った。
サイレンサーのお陰で軽い音と共に飛び出した弾は男の右胸から入って左脇に抜け、男の命を奪った。
サイレンサーは銃の発する音を抑える代わりに、正確さと威力までも失わせてしまう。だがこのVrはそんなサイレンサーにも影響されぬほどの威力が魅力だ。

俺はその後、続け様に三人の男の命を奪った。だが慎重さを欠く訳にもいかず、随分と時間を無駄にしてしまった。

イヤホンは今も、順調に進む重役会のの様子を伝えていた。
<……トラックジャックを常務が行っていたという証拠はあるのかね?>
俺はこの声に神経質そうな茶色い顔をした男の顔を思い浮かべた。専務、友常の声だ。
きっとその横では体格のいいレスラーのような体つきをした早坂が、友常の言葉に頷いているだろう。
友常と早坂の間には絶対的な力関係があり、早坂は友常の言葉に一切ケチを浸けない。
〈だが常務が我が組織に損害を与え、重要な情報を隠匿していたのは事実ですね。〉
俺はフールの声言葉に興味を持った。これから自らが裏切りという、組織にとって最大の損害を与えようとしているにも関わらず、フールは冷静そのものだった。

だが此方にばかり気を配ってはいられない。俺の目の前にはまだ、一人残る衛兵の姿があるのだから。
最後の男は俺と視線を交わらせると、懐から二本のナイフを取り出した。それは刃が大きく湾曲し、獲物を確実に仕留めるという目的の為に作られた物である事が見て取れる。
どうやら奴は俺が組織の幹部であるからといって、手加減してくれるつもりはないらしい。
男が俺との間合いを詰め始めた時、かすかな振動が足元を通して伝わってきた。建物の外からは銃声が聞こえてくる。

<何事だ?!>
イヤホンを通して専務の声が響く。
INCによる強襲が始まってしまったのだ。
俺は焦りを感じた。俺は玲良とはまだ接触を持てていないどころか、はっきりとした居場所すら掴めていないのだ。
<何が起きた!?>
<フール様!報告致します。>
<警察権力による包囲、攻撃を只今確認しました!!>
<何だと?!>
<現在応戦中ですが、敵は装甲車も準備しており、ヘリによる空中からの攻撃も受けております。>
イヤホンからは次々と声が溢れる。

俺のいる場所にも超低空飛行ヘリの爆音が轟いている。
目の前の男も、突然の事態に驚きを隠せない。だが俺への警戒を解く事もしなかった。
男は軽やかに体勢を整えると、右手に持っていたナイフを俺に目がけて勢いよく投げた。
円を描きながら迫るナイフを、俺が重心を移動させ体を反らせる事で避けると、ナイフは後方の壁へと突き刺さった。
だが一息付く間も無く、俺には左手のナイフで襲いかかる男が迫る。
Vrの狙いを定めようと男に銃口を向けたが、イヤホンから響いた声に気を取られ、一瞬引金を引くタイミングが遅れてしまった。

〈フール!!何が起きてるの?〉
それはアゲハの声だった。やはりアゲハもこの場に足を運んでいたのだ。
〈わからない。とにかく応戦しなければならないだろう。〉
〈その通りだ。戦闘の指揮は私がとろう!〉
アゲハに続いてフールと友常の声が届く。

その間に俺の撃ったVrの弾を避ける為によろけた男は立ち上がる。
一瞬遅れたVrの弾丸は、男の体をかする事もしなかったのだ。

イヤホンを通した盗聴機の向こうでは、友常と早坂そして警備員が部屋を出て行ったらしい。


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