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レン
【二次創作 官能小説】

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レン-14

俺は彼等の死を確認すると、後方にあるビルを振り返った。そして3Fの窓に無事な彼女の姿を見付けると、彼女に向かって大きく手を降った。
男の撃ったライフルの弾は彼女を逸れ、すぐ隣のガラスを砕いたようだ。
トラックを停めた位置まで戻ると、彼女は直ぐに階段をかけ降りてきた。
「私は囮だったって訳。」
『そう怒るな、イイ腕だったぜ。』
そう言う俺に彼女は飛び付いた。俺の首に手を回し、頬を俺の長い髪に埋め、きつく抱きしめる。
俺は彼女の髪に光るガラスの破片を落とし、強く強く抱きしめ返す。


この時、君は微かに震えていたな。
それは死に対する恐怖だったのか、自らの手で人を殺した事への恐怖だったのか…。
この時俺は案じていた。
今後の君が遭遇するであろう更なる恐怖に、最後まで耐えきる事が出来るだろうかと…。
だが君のその強さがいつも心にあれば、何が起きても大丈夫、そんな確信があったんだ。


その後の運転は俺が代わった。
俺達が六本木に着く頃になっても、二台の囮トラックからの連絡がくる事は無かった。
『消されちまったか。』
有り得ない話ではない。
おそらく、トラックジャッカー達もそれなりの訓練を受けた人間なのだろう。
迎え撃つ場所と方法を誤りさえしなければ、奴らは俺にとってはさほど脅威となるものではない。だが只の運び屋達にしてみれば、武装したトラックジャッカー達は十分恐怖の存在となりえる。
ならば迎撃などせずにそのままトラックジャッカー達を振り切ってしまえばいい、そう考えるのが当然だ。だがそれを良しとしない男がいた。常務である田端だ。
田端は俺に、トラックジャッカーに対しては必ず迎撃をし完全に排除してから納品に当たるよう指示を出していた。
それはまるで、トラックジャッカー達にわざわざダークネスを強奪させるチャンスを与えているようなものだ。
そんな違和感を覚える指示に、俺はある可能性を考えていた。
それは常務はトラックジャッカー達と繋がっている、もしくはトラックジャッカー自体が常務の差し金という事だ。
どちらが正しいのかは常務本人かトラックジャッカー達に聞く他ない。
しかし常務とトラックジャッカー達に何らかの接点がある事はほぼ間違いない。
これまでの俺は囮のトラックを付ける以外、特にトラックジャックに対して対策をとらなかった。
だがそろそろ、その事実を確かめる時が近付いて来ているようだ。


その後、不審な追尾車やトラックジャッカーと思われる様な車が無い事を確認し、俺達はアゲハとの取引の場所へと向かった。
アゲハとの取引は無事に終わった。
彼女はアゲハが何の変哲も無い普通の女である事に驚いていたようだ。
ただアゲハが普通と違う所は、職業が学生でも、フリーターでもなく、ドラッグの密売人という事。
アゲハも彼女には興味を持った視線を向けていた。
今までの担当とは違い、彼女が自分と同じ女であるからだろう。
俺には挨拶すら無かったにも関わらず、彼女には
「これからよろしくね、レイラさん。」
そう笑顔で言い残し、アゲハは先に去って行った。

『うまくやれそうで安心したよ。』
「女同士だからかしらね。」
確かに、男を嫌うアゲハにとって彼女は理想そのものの担当だろう。
アゲハと彼女が親密になれば、アゲハが握る“組織を破滅させる為の鍵”に近付けるかも知れない。


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