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Out of reality the world
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Out of reality the world-5

「う、うん。大丈夫……だけど、大丈夫じゃないかも」

そう、先ほどまでもがいていた化け物は今や、目を充血させて僕達、いや、これは……ぼ、僕? いや、うん。絶対僕が当てたことに怒っているに違いない。
なんでだ? 僕が何か悪いことをしましたか? いや、当てちゃった事は確かに悪いけど、それ以前に何で僕はこんなに運が悪いのだろうか。ほんと、今更って感じだけど僕ってかなりついていないと思うんだ。突然変な所に移動してるし、迷子になるわ。変な化け物に襲われる、といってもこれは自分のせいというかなんというか……。なんか僕って非常に可愛そうな子なんじゃないか?

「ど、どうしましょう?」

若干鬱になりかけた僕に彼女が声をかける。
そうだ、今は落ち込んでいる場合ではなく、今の現状をどうするか考えよう。
彼女を背負っている今、アイツから逃げることは無理だろう。それに後ろを向いて襲われたりしたら背負っている彼女が怪我をしてしまう可能性がある。だがこの状態でアイツに襲われても僕が怪我をしてしまうわけで。

――どうすればいいんだよ。

僕は心の中で舌打ちをし、この状況に頭を悩ます。
すると、『グォオォォォッ!!』と化け物が声を上げて僕達に迫ってきた。
背負っている彼女は悲鳴を上げ、僕はどうする事もなく、ただ迫りくる化け物を眺めるだけである。
今まで平凡な生き方をしてきた僕は今まさに見たこともない化け物に殺されようとしている。
ほんと、彼女だけでも逃がしたかったのだが、僕が殺された後彼女も殺されてしまうだろう。
何もできない自分に嫌気がさす。結局助けに来たものの僕が殺されて彼女も殺されるという、バットエンドの中でも一番最悪な終わりかただ。
だが、まだ僕は死んではいない。彼女もそうだ。両方死ぬなんて駄目だ。どちらかが犠牲になれば片方は生きられるかもしれない。
となれば犠牲になるとしたら僕だ。幸いアイツも僕狙いだろうし、へたに彼女を狙うわけでもないだろう。だったら、今僕がすべき事は――

「ごめん」

僕は彼女にこれからすることを謝罪した。

「えっ?」

彼女は今の状況とはそぐわない、呆気にとられた声を上げる。
僕はそんな彼女の声を聞き、内心可愛いなと思いつつ背負っている彼女を思いっきり横へと投げ飛ばした。悲鳴を上げて彼女は飛ばされ、僕の思っていたところへと落ちる。
「よし!」と小さくガッツポーズをすると共に僕の胸が何かによって引き裂かれ、胸からおびただしい血が飛び散った。

「ぐっ!」

一瞬意識を手放しそうになるが、なんとか気を保つことができた。

――大丈夫。僕はまだ生きている。

暗示をかけるかのように自分に言い聞かせ、僕はまたさっき投げた黄色い果物を手に取り、化け物に向かってそれを押し付けるようにして殴りかける。
こういう事に関しては運が良いのか、化け物に避けられる事もなく顔面へと命中した。
化け物は悲鳴を上げ、地面を転がるようにしてもがき始める。


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