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舞子 〜愛する人〜
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舞子 〜俺の彼女〜-1

舞子は羽のように優しく 俺を包んでくれる。
会話がなくても、ただそばに居てくれるだけで 俺は癒されて。
舞子の纏っている空気は いつも俺を安心させる。

でも舞子は鳥のようで、
いつか俺の元から飛び立ってしまうんじゃないか――
舞子を大切に思えば思うほど、そんな不安が募っていく。
この俺様が……情けない。

でも、笑わないで 舞子。
今、俺、不安で仕方ないんだ。
お願いだから、舞子。

俺を好きだって言ってよ――



「ねぇ 隆史、今日はいい天気だね」
気持ち良さそうに空を仰ぐ舞子。
その横顔はとても綺麗で、俺は誇らしい気分になる。
…けど…
「いい天気?」
俺は空を見上げる。
だって、空はどんよりしていて真っ暗だ。生ぬるい風が吹いてて、今にも雨が降り出しそうだし。
「気持ちいい風…ほら、雨の匂いがする」
俺にとっては、湿度の高い気持ち悪い風。
でも舞子が好きなら、俺もこの天気を好きになれそうだ。
「ね?」
振り返って俺を見た舞子は、いつもの少し淋しそうな、笑顔だった。



俺は松永隆史。
自分で言うのもなんだが、学年でも1・2を争う男前だ。もちろん、女に不自由したことはナイ!
自分で言うのもなんだが、頭だってすこぶるいいんだ。全国模試でも、常に100位以内だ。
当たり前だ。チャラチャラして見えても、俺は努力の男だから。
そう、毎日血の滲むような努力をして“完璧な男”をやってるのだ。
だから、俺には思い通りにならないことも、分からないこともないのだ!
ただ1つ、舞子の気持ちを除いて――


「なぁ、舞子って、何で俺と付き合ってくれたんだ?」
人気のない屋上で、俺は隣で缶コーヒーを飲んでいるセイに聞いてみる。

ちなみに『セイ』こと清十郎は、舞子の弟で、俺と1・2を争ってるクールな男前だ。
何となく気の合う俺たちは、いつもこうして授業をサボっては屋上に入り浸る。

「あぁ?知らねーよ。そんなの自分で聞け」
コーヒーを飲みながら、セイは答える。
相変わらずクール。
コイツは舞子の話になると、特に冷たいんだ。
(姉弟の仲、悪いのか?)
「自分で聞けりゃ、お前には聞かねーよ」
隣でうなだれる俺をよそ目に、セイはコーヒーを飲む。
その姿が、なんか悔しいくらいカッコイイ。

コイツは大体、何をやらせてもキマってんだ。ムカツク。
そのくせ、浮いた話しはあんまり聞かない。あんなに女をとっかえひっかえしてるクセに。


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