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淫魔戦記 未緒&直人
【ファンタジー 官能小説】

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その後の淫魔戦記-8

「すまぬな、当主の妻女よ。だが妾とて、誰かのぬくもりが恋しい事がある……そしてそれは、長い事満たされていなかったのじゃ」
「構いませんよ、有月さん」
 今まで沈黙していた未緒は、優しく微笑む。
「これが人間の女性でしたら、心穏やかではいられなかったでしょうけど……」
 有月の体に腕を回しながら、直人は肩をすくめた。
「僕はもう、未緒の魔力に囚われている。心の浮気なんてできないし、体の方も同様さ」
「私の……魔力?」
 不思議そうな顔になる未緒へ、直人は頷いてみせる。
「そう、君の魔力。もう一人の君の置き土産」
 有月が、満足げなため息を漏らした。
「何度寝床を共にしたって、君との行為は常に新鮮で興奮に満ちている。原理は分かっているから解くのは簡単だけれど、別に解かなくたって構わないだろ?」
 そう言って、直人は笑う。
 夫婦のコミュニケーションをとる際にえらく激しい時があるのはそのせいだったのかと思い、未緒は心の底から納得した。
 ただ……直人を繋ぎ止めているのが自らの魅力ではなく無意識に発動しているスキルによるものだというのが、自分には少し複雑に感じられる。
「解きたいなら、解けばいいさ」
 そんな心の内を見透かしたかのように、直人は言った。
「僕は浮気なんてしないから」
 腕の中の有月が、くすくす笑う。
「そなたは、行動までもが開祖と瓜二つじゃな。あれも夜毎に方々の女を訪ねる振りをしながら、最後には心奪われた女に全てを捧げたのじゃ」
 有月は、困ったように眉を寄せた。
「と、なると……妾の願いを叶えるのはちと難しいかの?」
 もの問いたげに、直人は未緒を見る。
「僕としては、有月の願いを叶えてやりたいんだけど……」
 夫はそれだけ言うと、不自然に言葉を切った。
 一人でそれを行えば自分は浮気をしないと言ったその舌の根も乾かぬうちにそれを覆す事になる訳だから、直人としては避けたい事態らしい。
 それに有月は、『二人で眠りへ送り出して欲しい』と希望している。
「……後悔は、しませんの?」
 ややあって、未緒は有月に尋ねた。
「後悔など……妾はもう、疲れた。そろそろ安らかに眠ってもよい頃合いじゃ」
 有月は直人の腕の中から抜け出すと、そっと未緒の手をとる。
「後生じゃ、当主の妻女よ。妾を、ゆっくりと眠らせてたもれ」
 
 
 二人が見守る中、未緒は羽織っていたカーディガンを脱ぎ捨てた。
「私で、お役に立てるのでしたら。有月さん」
 良家の若奥様らしい上品なデザインのワンピースを押し上げている豊かな肉体に、有月は少し驚いた表情を見せる。
 豊かとはいっても太っているという意味ではなく、女性らしい曲線を主張する箇所が人並み以上に強調されているという意味だ。
 体つきは細いのに胸と尻はたっぷりしていて、そのくせ胴周りはほっそりしている。
 そして、匂うような色香を周囲に振り撒いているのだ。
「当主よ。そなた、苦労が多いのではないか?」
 有月の囁きに、直人は苦笑する。
「宴席なんかに行くと、特にね」
 光の養育のために家へこもりがちな未緒を同伴してどこかのパーティーに出席すると、未緒は注目の的だ。
 中には未緒を高級クラブのママかナンバーワンのホステスかと思い、店名を聞いてくる輩さえいる。
「さて、有月。未緒の同意が得られた所で……まさか野っ原で準備する訳にはいかないよな?」
 その言葉に、有月は笑った。
「妾の住家へ案内しよう。来るがよい」
 
 
 そこは、不思議な空間だった。
 方向感覚はまるで役に立たず、景色はどこもミルキーなパステルカラーが入り混じっている。


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