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『奇病』
【ミステリー その他小説】

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『DHMO』-1

「……以上で、発表を終わります。」
そう言いつつ、僕は頭を下げた。
その途端、クラス中に拍手の音が響き渡る。……まぁ、社交辞令なわけだが。
自分の席へ戻り、僕は隣の席の友人─K─にむかって、言った。
「次、お前の番だな。頑張れよ」
するとKは、不敵に笑って、言った。
「……金賞は俺のものだ!!」
……僕は、(なぜ、たかが学年発表会ごときで、そんなに本気なんだ?)と思いながらも、「お、おう」と返事をした。
……ちなみに今日は、各自がそれぞれ調べた事を(調べる物は何でもよい)パワーポイントを使って、発表する日であった。
賞を取ると平常点が上がるので皆、結構マジメである。
……そんな中、Kの暴走が始まる。
「……では佐藤君。お願いします」
「はい」
ついにKの出番である事を、先生が告げた。
「……では、行ってくる」
Kは威厳たっぷりの表情で立ち上がった。
Kは、ホワイトボード(パソコン室なので)の前に進み、声たかだかに発言した。
「これから、『DHMOについて』の発表を始めます!!」
…………この時、クラス全員の考えが一つになった……と思う。
『何だよ、それ!?』……ってね。
「実は、僕の伯父はDHMOの被害により『死んでいます』」
………うわっ、なんだこの空気!? 重い!! 重いヨ!!
「DHMOは、依存症になりやすく、禁断症状としては、猛烈な喉の渇き等があげられます」
……えっと、何だ? 麻薬とかなのか?
「……その後、DHMOを摂取しなければ、幻覚症状を見たり、発狂するなどして、最終的に死亡してしまいます」
……死ぬの? っつーか、お前の伯父、ヤク中!?
「……なお、DHMOの依存症から抜け出す事は、現代の科学では、不可能です」
…………僕はエスパーではないけど、これだけは分かる。
金賞はムリ。だって、意味が分からないもん。
「大量に摂取すると……痙攣、意識障害などの中毒症状を引き起こし、最悪の場合死に至ります、お気をつけ下さい」
いや、まずDHMOが何か分からないから、ムリぽ。
「……なお、DHMOが町に流れ込み、大勢の人が死んだという事件は、数少なくありません」
…………いや、マジでDHMOって何だよ!?
「DHMOを弾とした拳銃も作られているが、危険性の問題により、戦争や暴動鎮圧などに使われた事は、一度もありません」
……拳銃の弾? ……だめだ、もはや見当もつかん。
「なお、DHMOはほぼ無色で、においも味もありません」
……Kはそういうと、全員の方をみた。
「以上で発表を終わります。何か質問や意見ありませんか?」
……数人が手を挙げ、Kはその中の一人を指差し、「何ですか?」と聞いた。
その一人はおずおずと、「……えと、DHMOって、何ですか?」と聞いた。
するとKは、ニヤリと笑って……。
「ググッてみて下さい。」と言った。


………Kはなかなかしぶとく、クラスメイト半数以上から、授業中ずっと拷問(シャーペンの芯を飛ばす攻撃)をうけても、なかなかDHMOの正体を吐かなかった。
……しかたなく僕は、家のパソコンで調べてみることにしたのだった。


『K君のどうでもいい話と、前作の限りなく答えに近いヒント』

Kはなかなかすごい奴です。
高校に入った時、初対面の女子から『ねぇ、どこ中?』と、聞かれた時は「君に夢中」……などと答えたし。

遠足の前日には「バナナはおやつに入りますか?」と聞いたり。

……そういや、中学の時の遠足では、先生が
『おやつは300円以下ですよ』と言った時、遠足に健康イカ6個持ってきたっけなぁ。
「さすがに、300円のイカはなかったから、50円のイカを6個……」
知るかっ!!

僕が『奇病』を見せた時は、「ん〜、病名は『しりとり病』かねぇ」などと言ってくれた。


ああそれから、DHMOについてはすいませんが自分で調べてみて下さい。……文句はKへとお願いします。


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