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針のない時計
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針のない時計-5

「もうダメ…食べれないし飲めませぇーん…」
はしゃぎ疲れたハルは、バタンと倒れ眠ってしまった。
私も久々に気持ち良く酔っている。
「こんなに作って、咲全然食ってねーな」
瓜生も結構飲んだ。本当にこんな時間は久々だ。
「実は瓜生が雨男だったりして」
私、タバコに火をつけながら瓜生を見た。
「いつも思うけど、咲ってマズそうに吸うよな、タバコ」
どきっー
「何行ってんの?…それよりさ〜…最近バイトの日って帰って来ないけど彼女でも出来た?」
私、瓜生から話も目も反らして言った。
「気になる?…」
瓜生、体を私へと近づける。
ー…ヤバい…
「ハルがさ〜…毎回うるさくてね〜」
私は相変わらず瓜生から顔を反らしたまま。
「そ…」
「…ハルって…瓜生はハルをどう思う?」
「どう、って?」
「このままでいいのかな?…親…とか…」
「さぁ〜…ハルが決めることだろ、出ってってほしいの?」
「違うっ!!そうじゃなくて…」
「心配?」
「…うん…」
瓜生、体を更に私に近づける。
「俺は?心配?」
「え?っ別に、瓜生なら一人で生きていけそうだし」
私、瓜生を見ないまま、残っていた梅酒を一気に喉へ流し込んだ。
「だな、実際一人で生きてきたからな」
「え?」
「ん?あれ、知らなかったっけ?俺親いないし、親っていうか家族がいない」
「そう…なの?」
私、驚いて顔を上げた。
「やっと俺を見た」
ーあ…ヤバ…
そう思ったときには遅く、瓜生の口は私の口にすでに触れていた。
優しく、撫でる様なキス…
優しく、暖かいキス…
知ってる…瓜生は私が好き。
「瓜生、酔ってる?」
でも私は気づかない振りをする。
「…まぁいいけど…今日はこれで勘弁しといてやる」
瓜生、そう言うと立ち上がり、片付けを始めた。

こんなに近くにいる私達…なのに何も知らない。
何も知ろうとしない。

私も立ち上がり、片付けを始めた。
流しで洗い物を始めた私の背後に瓜生が覆い被さるようにやって来て、耳元へ顔を近づける。
瓜生の暖かい息が耳に当たり、私の手が止まった。
「…最後に笑うのは俺だから」
瓜生、そう呟くように囁くと、ゆっくり私の元を離れていった。
ー…瓜生…
低く響く優しい声が私の奥へ染み込んでいく…
私、そっとハルへ目をやった。
幸せそうに寝息をたてるハル…

このままでいいのだろうか…

桜が満開で、職場でもテレビをつけても花見の話題で持ちきりだ。
職場での花見は一次会で抜け、rococoへ行った。
桜は綺麗だけど、やっぱり苦手…

ハルはようやくバイトを見つけ、いそしんでいる。昼間のバイトがイイなんて言ってたのにやっぱり居酒屋で、しかもrococoの近く…

ーあ…しまった…今日、二人ともバイトだ…
私、家に着いてから気づいた。ハルがバイトを始めたことをすっかり忘れていたのだ。
ー…しかも明日って仕事休み?…ハルのバイト先にでも行こうかな…
そう思いながら玄関の鍵穴から鍵を引き抜く。
「あの…こちらにお住まいの方ですか?」
「え?あ…?はい…?」
突然、声をかけられた。
小柄で44・5歳?くらいの上品な女性。その後には大柄で50歳過ぎ?の男性が立っている。
ー?どこかで見かけたような…


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