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針のない時計
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針のない時計-2

去年の約束、二人は覚えているだろうか…
バイトの日は朝帰り(昼帰り?)の瓜生…口を開けば瓜生の話をするハル…
何だか少しずつ狂ってきた様に思う。
そう思うのは私の感情(きもち)のせいだろうか…

ー今日って二人ともバイトかぁ〜…つまんないから飲んで帰ろ
最近こんなだ、誰かがいないと家に帰るのが憂鬱で、狭い家なのに広くて仕方がない。
ー結局ここか…
rococo BAR
瓜生のバイト先。
「いらっしゃい、瓜生あそこ」
バイト仲間にも覚えられ、店に入るといつもの席と瓜生の居場所を教えてくれる。
「飲みに来ただけだから…」
私もいつものセリフをはき、いつもの席に着く。
「梅酒持ってくるからメニュー選んでて」
「うん」
今日は少し肌寒い…3月によくある寒の戻りってやつだろう。
寒い、と体が認識した時点で食欲がなくなる。
「何食う?」
梅酒を持ってきたのは瓜生だった。
私、選ぶ気もないのにメニュー表を広げて瓜生を見上げた。
「…もうちょっと落ち着いてから頼む」
「ん…」
瓜生の大きな後ろ姿を見ながらタバコに火をつけた。
ヤニ臭い煙と甘い梅酒をの飲み込むと、胃がきしみながら熱くなる。

梅酒以外飲めなくなったのは高2の冬…あの冬は本当に寒くて、私の誕生日には雪が舞い、成人式の晴れ着を着た人達が騒いでいた。
そういえば、あの頃はまだ15日だった成人の日…
あの日、私はファーストフード店で…

「ちょっとでいいから食って」
!!っー
「あ、あぁ…あ〜…瓜生…」
いつの間にか瓜生はリゾットと梅酒を手に横に立っていた。
「ちょっとでいいから…」
リゾットの香りにむせそうになりながら笑顔を作る。
「はいはい…食べるから、仕事に戻って」
スプーンを手にして食べる素振りを見せながらリゾットを少し遠ざける。
「あっやっぱりここにいたー」
ーん?…
聞き慣れたバカ声…振り向くとアホ面で駆け寄ってくるハルの姿。
「あんたバイトは?」
「やめちゃった」
私の正面に腰をおろしたハル、目線は瓜生…
「長続きしないね〜…」
「え?」
やっと私へと視線を向けたハル。
「バイト」
「あ〜…うん…何だかピンとこなくて…」
ー……
上目使いのこの仕草…
イヤになるくらいクラクラする。
「何でもいいけど働かないなら出てってね」
「いや、見つけるよ!!見つけるからっ次のバイトっ、ね…」
ー……ばーーか
『出ていけ』なんてよく言える…思ってもないくせにっ
「ちょっとでいいから食えって」
瓜生、ハルにメニュー表を渡しながらリゾットを私の前へ戻した。
ー…っう…
「分かってるって、だから梅酒おかわりね」
空になったグラスを瓜生の手に渡し、頬を赤らめたハルの口にリゾットを押し込んだ。


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