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トシキ@
【コメディ その他小説】

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トシキ@-5

「あ、あの‥‥‥村に入れていただけないでしょうか‥‥‥」
トシキは門番の母性本能をくすぐるような目で見つめた。

「それは無理だな。今、この村はある国とある国の抗争に巻き込まれているんだ。外部からの出入りは、紹介状がないと出来ないことになっている。」トシキは少しイラッとした。

「しかし、村に知り合いがいるならば通してやろう。」
門番は言った。

「え‥‥‥‥えっと‥‥‥‥‥す‥‥‥‥すす‥‥‥‥‥須藤!!須藤に会いに来た!」
トシキはとっさに思いついた名前を適当に言ってみた。

「ん?お前、須藤の知り合いか?よし、通してやる。」
トシキはガッツポーズをした。こんなに自然にガッツポーズが出たのは、クマ五郎をもらった時以来だ。

「よし、通っていいぞ。ここが入り口だ。‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥あの世へのな!
!!」
門番は腰に挿していた刀を抜いてトシキに突きつけた。刀の切れ味は抜群そうだった。

「須藤なんていねぇんだよ!キサマ、どこの回し者だ!!」
門番はトシキとの間合いをジリジリつめていった。
トシキは焦った。ワキから変な汗が出てきた。

「ム、ムック!ムックってヤツはいるか!?確か村役場の役員だったはずだ!」
トシキは最後の賭けに出た。もう、あの毛むくじゃらの名前しか出てこなかった。

すると、何やら門番は相談を始めた。

「キサマ‥‥ムック村長とどういう関係だ?村長は今、外出中でな。招待状か何かは持っているか?」なんと、砂漠で出会った毛むくじゃらは村長であった。抗争中のためだったのだろうか、村役場の役員というのはカモフラージュらしい。

トシキは、村長をボコボコにしてしまった後ろめたさを感じたものの、やはり一晩過ごす宿が欲しかった。
そう思ったときにはすでに、後ろめたさなどみじんも感じていなかった。トシキとはそういう男なのだ。

「こ、これ‥‥‥村長さんからいただいた(奪った)コンパスなんですけど‥‥‥‥」
トシキはコンパスを差し出した。

「これは‥‥‥この村で作ってるコンパスだな。よし、いいだろう。入れ」
トシキは疑われたことに少し腹がたった。もはや、嘘をついて村に入れたことすら忘れていたのだった。




(ギュルルルル)

トシキの腹がなった。昼時に食べたカンパンはすでに消化されているようだ。
もちろんトシキは一文無しだ。このままでは食事はおろか、宿すら借りられない。

「はぁ‥‥‥‥どうしようか‥‥‥‥」
トシキのテンションはありえないくらいガタ落ちだった。民家に頼み込んで泊めてもらう方法もあったが、トシキのプライドがそれを許さなかった。

「とりあえず飲食店の残飯でもあさるか。腹が減ってリキがでねぇ‥‥‥」
そう思い、トシキは定食屋に向かった。
定食屋につくと、店の入り口にある張り紙にトシキは気づいた。


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