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聖なる夜に…
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聖なる夜に…-4

[じゃあ何!何もかも私が悪いの]

[そんな事は言ってないさ。だが、オレ達は"ルール"の有る社会で生きている。親とはいえ君を育ててくれているんだから、ある程度の"束縛"は、仕方ない事だ。それがイヤなら一人で生きるんだな]
沙耶は敦の"もっともな"意見に反論出来なかった。しかし、納得いかないためか感情で話だした。
[エエ!生きるわよ!誰があんな家]
敦は大きく笑いながら、
[さっきまでコンビニの前で立ちすくんでたヤツがか?ハハッ!]
[グッ!………]


[そういう事は自分で稼いでから言うんだな。今のオマエらのやる事は、勉強する事さ]

恨めしい目付きで敦を睨む沙耶は、取り上げられた缶ビールを奪い返して、再び一気に呑んだ。今度は敦は止めなかった。むしろ柔和な顔で沙耶を眺めながら、

[まあ、お互いに本音をぶつけ合えるのは素晴らしい事だ。いなくなればそれも叶わなくなる]

敦の言葉に、沙耶は怪訝な顔をして、

[それってどういう……]

敦は2本目のタバコを深く吸い、大きく息を吐いた後に語りだした。

[オレの父親はオレが3歳の時に亡くなった。母親もつい半年前に……そういう事さ]

沙耶は敦の話を聞いて今度は目を潤ませる。なんと酔うと喜怒哀楽の激しい娘だろう。

[…この世に…独りなの…]

敦は笑みを浮かべて、ゆっくりと首を横に振る。

[残念ながら違うよ。3つ年上の姉がいる。結婚して遠くにいるがな……だが、叱ってくれる人はいない]

沙耶は涙を溢れさせながらオイオイと泣いている。

[だからオマエの家出の理由は、オレから見ればむしろ羨ましい限りさ]

[…でも……]

涙と鼻水でぐちゃぐちゃになった顔をティッシュで拭きながら、沙耶はどうしても敦の意見に納得しない。

[だから、イヤなら独りで生きてみろ。だが、何の資格も経験も持たないお前を誰が雇ってくれる?仮に仕事が見つかったとしてそれまでの生活費や住居はどうするんだ?]

また敦の説教じみた理屈に、言い返せない沙耶。
敦は"もう一押しだ"と思い、

[だからオマエらみたいな小娘が援交と称して売春に走るんだ。手っ取り早く金になるからな…]

更に追い討ちを掛けるように、敦は沙耶の身体を眺めながら、

[まっ、オマエは大丈夫だな。そんなんじゃ誰も買わないだろうから]

この"追い討ち"に沙耶は怒り出した。

[う、ウルサーイ!!私だって男の一人や二人言い寄って来るわよ!]

[アッハッハッハ!!オマエ本気かぁ?余程"変な趣味"なヤツじゃないとムリムリ]

[何よ!アンタの趣味が悪いんじゃないの!]
頃合いとばかりに、敦は真面目な顔になると低い声で沙耶に言った。


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