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ずっと、好きだった
【片思い 恋愛小説】

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ずっと、好きだった-1

『最高』と『最低』。
辞書の上で正反対とされるそれらは、実際には隣り合わせの、紙一重の関係なのかもしれない。
何故なら僕は、今まさに『最高』で『最低』な気分に陥っているからだ。
もう一度、隣で眠る彼女を見つめる。
そっと頬に触れてみると、それは震えそうになるほど温かく、これが現実なのだと実感させられた。
「やっちまった…」
頭を抱え、舌打ちをし、溜め息をつき…出来るかぎりの後悔を表現してみる。
しかし、そんなことで何かが解決するわけではなかった。
「どーすんだよ、これ…」
ずっと好きだったのに。
純粋に彼女を想っていたのに。
大きく順序を違えてしまった。
しかし、自己嫌悪にさいなまれながらも、仕方のないことだったのだと諦めの気持ちも生じる。
酔っているとはいえ、あんな風に『帰りたくない』などとしがみつかれてしまっては、生理的なものを拒めるはずがない。
何かのヒーローならば、『もっと自分を大切にしろ』などと彼女を叱ってみせるのだろうが、幸か不幸か、僕はそんなに不健康な男ではないのだ。
「ん…」
相変わらず、無防備な顔で眠り続けている彼女。
こんなことになるなら、さっさと告白でも何でもすりゃ良かった。
高校時代からうんざりするほど一途に思い続けてきたのに、結局、『失恋の痛みをごまかすために抱かれた男』の枠に収められてしまいそうになっている。
彼女が目覚めたら、何としてでも気持ちを伝えなければならない。
「おはよ」
突然耳をついた声に驚き目を遣ると、身体はうつぶせのまま、顔だけをこちらに向けた彼女と視線が合った。
「あの、さ」
ゆっくりと視線を外し、彼女が呟く。
僕は話がおかしくなる前に気持ちを伝える必要を感じ、ひたすら焦っていた。
「俺…」
「安心して」
僕の言葉を遮り、彼女は言った。
「私から誘ったのも覚えてるし…『責任取って』とか、言わないから」
「ノリ、俺は…」
「今まで通り、『友達』でいよう」
彼女は引き攣った笑みを作ると、床に散らばった下着を身につけ、ベットから抜け出した。
その後ろ姿を見つめながら、昨夜に他の男を好きだと言って泣きわめいていた彼女を思い出す。
さっきまでの決意は萎み、今告白などしても彼女を困惑させるだけなのだと気付く。
けれど、このまま友達になど戻れるはずはない。
ああ、もうどうにでもなれ。
僕は彼女を後ろから抱きしめた。
「悠紀?」
ベットに彼女を引き戻し、残酷なほど柔らかい唇にキスを落とす。
「ゆうっ…やめっ…」
「一度も二度も、変わんねーだろ」
彼女の瞳が、絶望に見開かれる。
その光景に、僕の心もグシャグシャになる。
でも、これしか彼女を繋ぎとめる方法を持っていない僕は、その手を止められなかった。
「悠紀…」
こうして、僕らの歪んだ関係は始まってしまった。


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