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メイプルハニー
【青春 恋愛小説】

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メイプルハニー-1



「らんらん、らんらんらーん」

アタシは高崎雫、16歳の女子高生。
最近好きだった男の子と付き合いだして、とっても幸せだ。鼻歌の一つも出ちゃうのは仕方ない。

「何を浮かれてんだお前は。春はまだ先だぞ」

確かに浮かれてるアタシの後ろから、冷めた声が飛んで来た。

でも声が冷めててもアタシは上機嫌になる。だって声の主はアタシの彼氏なんだから。

冷めていたってアタシを好きだって、もう知ってるんだから。

「おはよっ、クマノミ!」
「おう、おはよう」

そう云って彼は笑顔を浮かべて、アタシの隣まで歩いて来た。

彼の名前は熊埜御堂一哉。運命的に同じクラス。
くまのみどう、なんて長い名字だからアタシはクマノミって呼んでいる。

「ねぇねぇ、今日さ、学校終わったらさ」
「ああ悪い。今日バイトなんだよ。近所の店でレジやってんだ」

クマノミは申し訳なさそうに頭を掻いた。

「そっか、なら明日なら」
「明日は格闘技の練習なんだ。交互に入れてんの」
「じゃあ、暇な日ないの!?」

なんて悲しい事実だろう。折角付き合いだしたのに会えないなんて。

「そう落ち込むなよ。月曜はどっちも入れてないから、月曜に会えば良いだろ」
「そうだけどさ、そうだけどさ」

アタシだって、アタシなりに色々予定を立てていたのに。

最近出来た評判のアイスクリーム屋さんに行きたいとか、大皿のスパゲティを半分こしたいとか。

なんか食べ物ばっかだけど、そこはそれ。

「たまには日曜バイト休み貰うから、勘弁してくれよ」

落ち込むアタシの手を握って、クマノミはそう云う。

「それは嬉しいけど、折角付き合ってるのに」
「学校で会えるだろ?メールだって電話だって出来るし」

それはそうだけど、いっぱいいっぱい会って一緒に居たいのに。

「うん、そうだね。いっぱいメールしようよ!」

でもアタシは、我慢した。

クマノミは一緒に居たくないの?とか、クマノミはアタシとデート出来なくて平気なんだとか、色んな言葉を飲み込んだ。

「おう」

クマノミがそう頷いて笑ってくれるなら、アタシはたくさんの言葉を飲み込むよ。

でもその言葉達はちっとも甘くなくて―――強すぎる炭酸水みたいに痛かったけれど。


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