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桜並木
【戦争 その他小説】

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桜並木-1

今年もまたやってきた。見事な桜だ。病院を抜け出して来た甲斐があった。桜が咲くこの季節に来るのは、今年で61回目になる。
そしてあの桜の中に、友がいる。

「靖国で会おう」

62年前、死ぬと誓った。あいつがいる。
あの時に、私の発動機の油圧が下がらなければ、私もこの桜の中の一つだった。泣きながら基地へ引き返すときの、死に行くあいつの笑顔が忘れられなかった。
戦後の混乱の中、不思議と事業が成功したのも、あいつが見守ってくれたからだと思う。

胸に激痛が走る。

「友よ。来年はここでは会えそうにない。来年は私もそちらに行きそうだ。長らく待たせたな」

私は、再び桜並木に目をやると、靖国神社をあとにした。






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