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愛する人。
【OL/お姉さん 官能小説】

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愛する人。-7

―…

「ん〜…美味しい。」
私は彼の家の黒革のソファーに腰かけながら、彼が開けてくれたワインを飲んだ。
「だろ?」
彼は私のお気に入りのチーズを出し、私の隣に座る。

あの後、私は彼に支えられながら会社を後にした。
(だって腰立たなくなったし…)
タクシーでそのまま要のお家へ。

彼の家は久しぶりだったけど、家具も匂いも変わってなかった。

「…今日さ、気持ち悪いって言ってたじゃん。」
彼はワインを一口飲んで私に言う。
「あ、うん。」
「それってさ…」
「ん?」
彼はちゃんと私の顔をチラッと見て、視線をずらした。
「何よ…」
私はワイングラスを置いて、彼を見る。
彼は言いずらそうに、顔を歪めた。
ワインを一口すすり、彼は意を決したように言葉をつむぐ。
「…ッつわり…とか?」
「…へ?」
私は間抜けな声が出てしまった。
「違う…の?」
彼は気が抜けたような声を出す。
「ちッ違うよ。」
私は力一杯否定した。
「じゃ…何?」
今度は私が言葉を選ぶ番だった。
「あぁ…あのねぇ。」
私もワインを一口すすり、言葉を発する。
「コーヒー飲み過ぎたんだよね…」
「は?」
彼も間抜けな声を出した。
「あのね、お昼前さ、要のためにコーヒー淹れたんだ。」
「うん。え…?持ってこなかったじゃん。」
「だって…神田さんのコーヒー飲んでたじゃない。」
「あ…」
「だからさ、二杯飲んだのよ。」
「…」
「そしたら気持ち悪くなっちゃった。」
「…俺のせいか…」
「違うよ。ただ、なんか、ちょっと…妬けちゃって…やけくそで飲んじゃったんだ。」
神田さんのコーヒー美味しいって言ってたからさ、と私は続けた。
「…そっか」
彼は私の肩に体を預けた。
「子供出来たのかと思った…」
彼は安堵の声をもらす。
「安心してる?」
私はワイングラスを傾け、くっとワインを流し込んだ。
「いや…」
彼は言葉を濁す。
「安心ってか…俺も父親になるのかって緊張してたから…」
「ふ-ん…」
「まぁいずれは、な。」
「ん?」
「いずれは…子供作ろう。」
「…なんかプロポーズみたいね。」
「プロポーズはちゃんとするよ。今は、予約。」
「…うん」
彼の大きな手が私の手を包む。
「…ここに指輪、予約します。」
「…はい。」


<完>


千晴は俺の腕の中で、急に口を開く。
「てか、もし、赤ちゃん出来てたらどうするつもりだったの?」
「…んえ?」
あと少しで眠るという所だったため、思わず変な声が出てしまった。
「あんな激しいエッチしちゃってさ、赤ちゃんビックリしちゃうよ…」
「あ…」
「まだ父親には早いね。」
彼女はため息をつく。
「…今は赤ちゃんより性欲だな。」
俺は彼女のおでこにキスをして、さっきよりも少しだけ力をこめて彼女を抱いた。
「エッチ…」
彼女は一言だけそう言うと、俺の胸元に顔を埋める。
彼女は、
可愛い。
いつか、本当に彼女との子供が欲しいな思った。
「…可愛いだろうな」
将来の彼女との子供に想いを馳せ、俺は目を閉じた。

<おわり>


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