投稿小説が全て無料で読める書けるPiPi's World

「#2」
【その他 恋愛小説】

「#2」の最初へ 「#2」 0 「#2」 2 「#2」の最後へ

「#2」-1

『もう君を離さない。もう寂しい思いもさせない。君を、心から愛してる。』

朝。一人で寝るにしては大きすぎるベットの中で、目が覚める。ごく自然に、カレンダーに目をやる。彼が逝ってしまって、もう一週間か…。急に切なくなって、布団のなかにうずくまる。もう十分すぎるほど泣いたはずなのに、今また、涙がこぼれ出そうになる。駄目!泣いちゃ!自分で自分を叱り付ける。それでもやっぱり悲しみは消えなくて、また彼に会いたいと思ってしまう。優しく抱き寄せてキスしてほしいと思ってしまう。…そうだ、今日はお花をたくさん買って、彼のお墓に行こう。そう心に決めると、ようやく私はベットを出て、支度を始める。名一杯お洒落をして、花屋さんへ向かう。
どのお花がいいかしら?チューリップ?カトレア?バラ…。やっぱりバラね。白のバラ。白のバラを両手一杯に買って、早速彼の、リーマスのお墓へ歩きだす。なぜか、嬉しくなる。笑みがこぼれる。笑うのなんて久しぶり。生き返った気分…。彼のお墓に着くと、私はある事に気付く。さっきまで真っ白だったバラの花が、茶色くしおれている。おもわず涙が、一粒花のうえに落ちた。茶色のバラなんて…ひど過ぎる。もう彼には、あげられない…。涙が止まらなくなる。私はバラを投げ捨てて、走って、家まで帰ってきてしまった。まだ涙は止まらない。いつしか外でも雨が降り、私は顔を埋めて泣いている。
どのくらいの時間泣いていただろう。
『もう泣かないで、ジュリア』
彼の声が、聞こえた気がした。私は顔を起こして、辺りを見回す。誰も居ない。彼が、居るはずがない。でも確かに、声は聞こえる。
『ジュリア、僕はここにいるよ』

朝。今日はソファの上で目が覚めた。昨日のは、夢?私は、なにかを探してそこらじゅうを歩き始める。ふと、テーブルに目をやる。
そこには、真っ白なバラ一輪と、メッセージカード。メッセージカードには、『ILoveyou』の文字。間違いなく、彼の字。昨日の夢は、夢じゃなかった。しばらくぼんやり立っていると、温かい空気のようなものを感じた。姿こそ見えないが、ここに、彼がいる。
「おはよう、リーマス。ここに居るの??」
話し掛けてみる。
『あぁ。おはよう、ジュリア。コーヒーを入れたんだ。君も飲むだろ?』
信じられない!その声は低く、私の頭の中に響き、私の涙腺を緩めた。
「リーマス…」
『ほら泣かないで…コーヒーの前にまず顔を洗って来なさい。』
温かい空気が私の頭を優しく撫でた。
顔を洗い、テーブルに戻った。彼が微笑んで私を見ているのが、雰囲気でわかる。すごく、満たされる感じ。コーヒーで体が温まると同時に、心も温かくなる。
『君がね、』
彼が話し出す。
『君が僕の所へ来るなり、すぐに泣いて帰ってしまったものだから、心配になって居ても立ってもいられなくなったんだ。それで、僕は今までお墓の入口からは出られなかったんだけど、夢中で君を追い掛けてたら、ここまで来ることが出来てた。』
嬉しい。その言葉が出る代わりに、私の顔はほころんでいた。とても、しあわせ。
そんな幸せな日々が続いた。ある日、彼がこんなことをもらした。
『骨…。骨さえあれば僕は完全な形に蘇ることが出来るかもしれない…。』
彼は何気なく言った。私は耳を疑った。
「本当なの?あなたは生き返れるの?」
『いや、僕も本で読んだことを今思い出しただけだから何とも…』
彼が困ったように笑った。私は真剣だった。その夜、私はこっそりと家を抜けだし、彼の骨の埋まっているお墓に行った。家から持参した家庭菜園用スコップで私は墓を掘り起こす。そしてとうとう彼の骨を出すことが出来た。気付くともう夜が明けたらしい。
朝もやがでて、辺りが白んで見える。私が家に着く頃には、もう完全に朝日が昇っていた。玄関を開け、中に入るとリーマスが立っていた。怒ってる。
「あなたの骨を持ってきたの。」
そう言うや否や彼が私を抱きしめた。
『家の中に居ないから…心配した…。』
すると、急に外の強い光りが差し込み、彼の骨と、彼自身とがあわさり、まるで何かの魔法のように彼が完全な姿に変わっていった。なつかしい姿が、そこにはある。長い睫毛、エメラルドグリーンの瞳、大きな手に、調度肩ぐらいまであるブロンドの髪。全てが完璧に。彼は少し体を離すと、私に優しくキスをした。

『もう君を離さない。もう寂しい思いもさせない。君を、心から愛してる。』


-END-


あとがき
このお話しは「ジュリア」の続きと思っていただいても間違いではありません。また、まったく違うお話しだと思っていただいても間違いではありません。感想等がございましたら是非メールでよろしくお願いします。


「#2」の最初へ 「#2」 0 「#2」 2 「#2」の最後へ

名前変換フォーム

変換前の名前変換後の名前