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堕天使と殺人鬼
【二次創作 その他小説】

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堕天使と殺人鬼--第11話---3

「はいはいはい、お喋りやめえー」
 三木原がかったるそうに両手を叩いて、それを制した。不思議なことにクラスメイトたちは、すぐにと言う訳にはさすがにいかなかったが、徐々に、徐々に大人しくなった。
 三木原が再び教室全体を見渡した。
「全く、君たちは何歳だ? 目上の人の話はきちんと聞けよ。礼儀だろ?」
 少しだけ俯いて溜息を軽く付いた後、顔を上げた。何名かの生徒が、その物言いが癇に触ったようで、「はあ?」と苛立った声を漏らしたが、三木原は構わず続けた。
「それで、君たちはどうやら納得してないみたいだけど、これはすでに決まったことです。拒否権はありません。明日にはニュースで君たちのことが全国に伝わります。まあ、一応秘密の実験だから、詳しいことは終わるまで伏せてあるけど。」
 三木原は最初の礼儀正しい口調とは打って変わって、大雑把な口調になっていた。余程、私語が気に食わなかったのだろうか。
「まあ、でも――」間を置いて、続けた。「君たちのお父さん、お母さん、またはお爺さんお婆さんには、君たちが家を出た後すぐに伝えました。保護者だからな。君たちのご両親は、君たちがプログラムに参加することを許可してくれました。まあ、中には反抗的な態度を取るのもいたんだけど――」
「冗談じゃねえ!」
 いたんだけど――と言葉を続けようとしていた三木原を誰かが遮った。その声は、晴弥の耳によく馴染んだものだった。
 思わず、振り返る。予想通りそこには、晴弥と同じグループの飛鳥愁(男子一番)が、男子にしては小柄な肩を小刻みに揺らしながら大きく呼吸をして、身構えるような姿勢を取っていた。
「何で俺らが選ばれなくちゃならねえんだよ!」
 愁は尚も怒鳴り散らしている。恐らく彼は、彼にしては珍しく今まで我慢していたに違いない。しかし、それももはや限界、と言った様子だ。
 愁の横では、やはり愁のお守り役のようになっている沼野遼(男子十一番)が、ここでも彼を宥めようと必死に肩を掴んで止めている。それを愁が振り切る。それの繰り返しが行われている。
 三木原が一度目線だけを、愁に向けた。その後すぐに逸らして、わざとらしく小首を傾げてみせた。
「誰かな? 今、物凄くアホらしい発言したの。」
「ああ!?」愁が更に声を荒げた。「なんだてめえ、ナメてんのか!?」
「愁、よせったら!」
 言いながら、できるだけ三木原から愁を遠ざけようと遼が制しながら肩を引っ張る。アキラがそれに合流して、遼の手助けをする。事ある毎に見受けられる、見慣れた光景。ただ、彼らそれぞれの首に銀色のものが着けられていることは、別にしても。
 三木原がようやく首ごと愁に向いた。そして、何か考えるような仕草を見せたあと、思い出したと言うように人差し指を立ててみせた。
「ああ、君は――飛鳥愁くん? だったかな? 確か内申書によると――えーっと?」
 それ以上は思い出せなかったのか(内申書まで見たのか、この男は)、三木原は口篭って苦笑したが、「まあ、いいや。」と言うと続けた。
「いいですか、飛鳥くん。あ、他のみんなも良く聞いとくといいよ。いいですか? 人間は生まれ持って平等です。平等って言うのがどう言うことなのか、みんな知らないわけじゃないだろう? どんなに偉い人でも、どんなに貧しい人でも、みんな人間なんだよ。偉いからってその人の価値がいいなんてことはないんです。そうです、みんな同じ人間なんです。でもさ、人間だからこそ、守らなきゃいけないルールがあるんだよ。分かるだろう? 例えば校則、法律、それはみんなが人間でいる限り、守らなきゃいけない決まり事なんだよ。だから今回みんながこのプログラムに選ばれたのも、人間だからこそ従わなきゃいけないルールの一つなんです。ちなみに全国の中学三年生の学級から、ランダムに当選してます。平等だからな。それでも納得がいかない人は、君たちが一人前の大人になるための試練だと思って、有難く受け止めて下さい。」
 三木原はそこまで一気に語ると、ふうと息を付いた。そして今度は、親しみを込めたような笑顔を浮かべて、「じゃあ、ほら、いい加減席に――」と言い掛け――そこまで言い掛けて、止めた。
 何故なら、飛鳥愁が物凄い血相で、間に教壇があるにも拘わらず三木原に、掴み掛かっていたのだった。三木原の語りに呆然と聞き入っていたのか、沼野遼や都月アキラは気を緩めてしまっていたようで、彼らのその僅かな隙に起きた出来事だった。


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