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COMPLEX
【コメディ 恋愛小説】

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COMPLEX -act.1--2

「残念でした。お姫様だっこじゃなくておんぶだったみたいよ」
そぉいう問題じゃなぁーい!!
「うそぉ……」
あたしは泣き出しそうだった。
だって、あたし、重いのよ。
背ぇ低いのに、重いのよ。
姫だっこだろうが、おんぶだろうが担がれようが、持ち上げられたらバレるじゃない!!
「あぁー、もう最悪!!」
あたしは再びベッドに潜り込んだ。
もう嫌だ。こんな体型。こんな性格。
あたしは昔から極端な上がり性。相当長い付き合いがある親しい人としかうまく接することはできない。
原因は分かってる。自分に自信がないから。
だから、好きな人に告白どころか話しかけることすらできない。たまに話しかけられても緊張してどもってばっかり。挙げ句の果てに倒れちゃうなんて……。
自分でもどうしていいのか分かんないよ。
「みーな……」
鈴ちゃんの心配そうな声。
あたしは答えられずに、ついに流れ出した涙にむせぶばかりだった。
「みー……」
「うおっ!何でお前泣いてんの!?」
鈴ちゃんの声を遮って、物凄い大きくて不機嫌を誘う声が聞こえた。
「おーい、どしたぁ?」
「ちょっと、やめなさいよ」
「や、だってさぁ」
無神経な声を鈴ちゃんが制すが、声の主は全く懲りない。
「何しに来たのよ、アンタ」
鈴ちゃんが聞く声。
「そりゃあ、カアイイ幼馴染みが倒れたって聞いて、心配して来たんじゃん?」
ウソだ。ぜーっっったいウソだ!
腐っても幼馴染み。この橘京介(タチバナ・キョウスケ)という男の性格は熟知している。
大方、麻生くんに運ばれたあたしをからかいに来たか、鈴ちゃんに会いに来たかのどちらかだろう。
コイツは鈴ちゃんに惚れてるからね。
色素の薄い柔らかい髪にぱっちり大きな目をして、その辺の女の子よりずっと可愛い京介は、その外見に反比例するようにカワイクナイ。勉強嫌いのくせに、常に成績トップで、運動神経も抜群という、なんとも嫌味なヤツだ。
「もぉ〜、騒ぐんだったら出てってよ!」
ついにキレたらしい鈴ちゃんの大声が聞こえる。この声はかなり怒ってるぞぉ。
「いいのかなぁ?そんなこと言って」
いつもならココで怯むはずの京介は、ナゼか歌うように言い返した。
「ああん!?」
完璧にキレてる鈴ちゃん。
どうでもいいから、もうほっといてよ……。
あたしは布団の中でグズッと鼻をすすった。
外ではケンカが大規模化しつつある。
「男のアンタには分かんないのよ!さっさと出て……」
鈴ちゃん?
鈴ちゃんの声が勢いをなくし、続いて30秒ほどの沈黙が流れる。
「……?」
どうしたのか、と、あたしは布団から這い出した。
「鈴ちゃん?……!?」
そこにいたのは、鈴ちゃんではなかった。ついでに京介の姿もない。
「……あ、そ……くん」
言語中枢崩壊寸前。
ベッドの傍らに立っていたのは、麻生くんだった。
「大丈夫?」
大好きな低い声が話しかけてくれる。
澄んだ切長の目が、あたしを見てる。
呼吸が浅くなる。
心臓が壊れそう。
「佐伯?」
呆然として答えないあたしを、麻生くんが心配そうに覗き込んできた。
「!?」
あたしはバッと顔を背ける。
見ないで、見ないで、見ないで!
今のあたしは頭ボサボサだし、思いっきり寝起き顔だし、泣きはらして目は真っ赤だし……。
これ以上、嫌われたくないの。


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