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「自称エスパー」
【青春 恋愛小説】

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「自称エスパー」-1

『映画行くぞ。』
午前2時過ぎ、突然のメール
君からの、嬉しいお誘い
「いつ?」
軽快に親指を滑らせて、颯爽と打つ返事
返信が待ち遠しい、君へのメール
『んー、明日…じゃなくて今日か。』
いつも話してるのと同じ口調が戻ってくる
いつも話してるのとは違う気持ちを感じる
「何観る?」
『行ってから決めよ。』
「計画性ないなぁ。」
『いつも突然な悪戯少年だからな。』
自分で言うなよ…と思わず苦笑。
「はいはい。じゃあ時間は?」
『今笑ったべ?』
な、何で分かるの?!コイツ、ただ者じゃないな…。
「笑ってないよ?」
『そう?まあ良いけどさ。』
「で、何時にするの?」
分かりやすいのかな、私って。
文面にまで出ちゃうのかな。
『じゃあ、1時に迎えに行く。』
「分かった。じゃあ、おやすみ。」
『おう。スカート履けよ。』
最後の一言は余計だけど、思わず顔がニヤけてしまう。
ベットに寝転んで、洋服に悩んでいた時だった。
聞き慣れた、特定の着信音(着信音1)。
『お前の考えなんか、お見通しなんだよ俺様は。おやすみ。』
(嘘つけ、何が俺様よ。)
幼馴染みって良いもんだ、なんて言われた私の身にもなってみなさいよね。
(お見通し、か…)
エスパーじゃあるまいし。
そう思った途端、シーツが濡れた。
ぽたん、と水滴が落ちた。
(エスパーなら、何で私の気持ち分からないの…。)
やっぱり、それは普通の人間だからじゃない。
お見通しなんて、嘘ばっかり。
ゴシゴシと目を擦って、私は服を選び直した。

(見通さなくても分かるくらいにイチャついてやる。)

そう決意して、自称エスパーの為に、スカートを手に取った私なのだった。

●End●


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