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卒業の前
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卒業の前-1

やりたかったら、やれば?
どうせ男なんてみんなそうでしょ?やりたいだけでしょ?だったら、早くしなよ。ほら…

「…ふっ」
意気地なし。
「んだよ」
「別に」

私と彼は付き合ってはや半年。もうすぐ7ヵ月。だというのに、まだである。悪戯めいた事は嫌と言ってもしてくるが 。多分、あれだ、私が初めてなんだろな。そんな所が可愛い所でもある。
ただ時々、本当にたまに、イライラする。今日はその日だ。
私は理由も分からない苛々を何処へやればいいのかも分からなかった。
ただ、隣には大好きな人。私が気を許せる何人かの一人。今、一番近い人。だから。
「今だったら何でも言うこと聞いてあげるよ」
「ほんと?」
「うん」
「じゃぁホテル行こ(笑」
「うん」
「旅行行こうか」
「うん」
「ドライブする?」
「うん」
「韓国とかどう?」
「いいよ」
「本当に何でも聞くの?」
「うん」
やりたいって、今なら聞いてあげるよ?
「じゃぁ…取りあえずここ動こうか。駐車場9時まででしょ。それに、腹減った」
「うん」
取りあえず。今日もホテルなし、か。少し肩の力が抜けたような気がした。
あの空間はあまり好きではない。あそこには、大人の欲望しかない。
最初は興味本意で好きだった。私は『大人の欲望』もまだよく知らないガキで、友達と暇つぶしに行っては色々壊して帰ったものだ 。今もラブホのノートを読むのは楽しみではあるが。

「病んでるね」
「…やっぱり?」
「うん」
そう言いながらファーストフード店のドライブスルーを潜り抜ける。
「どこ行く?」
その時、私の携帯の着信音が響いた。
「親だ…帰んなきゃ」
「…そっか。送るわ」
「うん」
いつも彼は文句一つ口にしない。それが少し怖い。
いつか破裂しやしないか、と。実は裏で女とヤってるんじゃないか、と。
ふと、別れを切り出されそうな気がして、私はいつも恐かった。だからなのかは分からないが、何かに脅されているかの様に彼に微笑んだりした。

あぁ、今日の私は、狂っている。
いつもなのかもしれないが、だとしても今日はいつも以上に狂っている。まず言動全てが自分で考えてもおかしい。

「んじゃ」
「またね」
最近ばいばいのキスが無くなった。まぁ、少し寂しくなるだけ。それだけだ。
どうせいつかはばいばいされるんだし。そしたらまた次。
実は半年もったのは彼が初めてだった。私は熱し易く冷め易い。自分で分かっている。私はワガママだ。

何か鳴いてる…何だ犬か。
おまえも、寂しいの?


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