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「保健室の小さな秘密」
【教師 官能小説】

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保健室のマドンナ-1

「なぁ…オレ真実の恋を見つけたかもしれない」

溜め息混じりに言ったオレの言葉を、親友の戸田健介(とだ けんすけ)が笑い飛ばす。
「はぁ〜?どうしたんだよ、悠お前熱でもあるんじゃねーの?」
お腹を抱えて、目尻には涙を浮かべながら。

…失礼な。

「お前来るもの拒まずじゃん。去るものも追わないし」

…まぁ、確かに。

「お前みたいな遊び人に真実の恋が出来るわけな…」
流石にカチンと来て、教科書で健介の頭をはたく。

「帰る」
鞄を持って教室のドアに向かう。慌てて健介が後を追って来た。
「ごめんて。で、誰なわけ?悠のハートを射止めた方は」

「言えない」
「ええ〜っ、オレとお前の仲じゃん、教えろよ〜!」
健介が肘でつついて来る。
「あ、愛ちゃんだ」
愛ちゃんは健介の彼女。
付き合い始めて一ヶ月のラブラブだ。
愛ちゃんが健介に気付いて手を振る。健介も愛ちゃんに大きく手を振り返す。すると、クルッとオレに向き直って、
「愛はダメだからな!」
オレの鼻先に指を突きつけながら言ってきた。
「…はいはい、わかってるよ」
その返事に満足したのか、愛ちゃんの元に走り出した。途中でまた振りかえって、
「今度教えろよ〜!」
と叫ぶ。
…まったく元気なヤツだ。

でも言えない。
たとえ、親友の健介でも。
この恋は、
絶対秘密なのだから――。

オレは雨宮悠(あめみや ゆう)。この静涼高校の三年。
秘密の理由、それは相手が同じ高校の保健医・美月奏子(みつき かなこ)だから…。

この間やっと想いが通じたばかり。かなり強引な手だとは思ったけど。どうしても、自分の気持ちを知って欲しかった。


オレが初めて美月奏子を見たのは、新緑の眩しい季節だった。奏子は、結婚退職した保健医の後を継いで、うちの高校に来たらしい。
まだあの頃はサッカー部を引退してなくて。確か、部活中に木陰で休憩しているときだった。
「なぁ、あれ新しい保健医らしいよ」
健介が隣で言う。
「へぇ…」
真っ白い白衣が印象的で。
後ろでひとつに結んだ黒く長い髪の毛が、音を奏でるかの様に風になびいていた。

彼女が後ろを振り向く。
わ…美人。
クールビューティーとでも言えばいいんだろうか。
色白な透明感のある肌。スッとした眉に、黒目がちな大きな瞳。桜色の唇。
フレームのないメガネが、透明感を一層際立たせている。
きっと、誰が見ても美人だと言うだろう。
ふと隣を見ると、健介もぼーっと新しい保健医を見つめていた。
…こいつ、愛ちゃんに片想いのくせして…。


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