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伊藤美弥の悩み 〜受難〜
【学園物 官能小説】

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恋人達の悩み2 〜Double Mother〜-9

「りゅうっ、やあっ、あああああっっ!!」
休憩を挟まない連戦は、感じやす過ぎる美弥の体にはかなりきつい。
ちなみに龍之介の方は、その気になれば休憩なしで五連戦も可能な程の体力と精力を兼ね備えている。
「はひぃっ……あ、ひいぃっ……!!」
ますます激しくなっていく龍之介の愛し方に、美弥はかすれた声を上げた。
ゴムの着け変えをするために間が空いたので龍之介が一度射精した事は分かったが、肉茎が射精前よりも大きくなった気がする。
「りゅっ……りゅうううっっ!!」
あまりにも激しいので美弥は止めて貰おうと名を呼ぶが、龍之介は理性がぶっ飛んで『美弥を気絶するまでイカせる』という行動に取り憑かれているので、声が全く耳に入らない。
「やあああああっっ!!」
普段はしない体位まで交えて激し過ぎるピストン運動をされ、美弥は何度もイカされた。
もはや何度イッたかも分からなくなった頃に、龍之介がようやく果てる。
――龍之介はそこで初めて、美弥をイカせ過ぎた事に気が付いた。
ベッドに力なく突っ伏した美弥が、物凄い形相になっている。
「ご……ごめ……!」
美弥はふらふらしながら起き上がった。
その目は、じっと龍之介を見つめている。
愛想を尽かされたかとオロオロする龍之介に対し、美弥は呟くように言った。
「こういう激しい方が、好き?」
「いやあのごめんなさいこんな真似は以後二度としないように気を付け……」
謝りだした龍之介の口を、美弥は指で塞ぐ。
「責めてないよ。ただ、聞いてるだけ……こういう激しい方が、好き?」
口を塞がれたまま、龍之介は美弥の様子を窺った。
美弥の表情は、平静そのものである。
「龍之介の事、好きだもん……激しいのがいいなら、それに応えてあげたい……だから、聞いてるの」
美弥が指を離すと、龍之介は首を横に振った。
「美弥があんまり可愛い声を出すから、気絶するまでイカせたいと思って……理性、ぶっ飛んでました」
正直に話すと、美弥が妙な表情を浮かべる。
「可愛いって……何が?」
どうやら当人に自覚がなかったらしく、龍之介はがっくりうなだれた。
「前戯しようと思ってたとこに『欲しい』なんて言われたから、もう鳴き悶えさせてめちゃくちゃにしたいって思ったんだよ」
そして実際めちゃくちゃにしてから、後悔の念に駆られている訳である。
「えっちする時は僕が気持ちいいのより美弥が気持ちいい方が嬉しいから、そっちを優先させてるつもりだけど……」
「うん、気持ちいいよ」
美弥は微笑んで、龍之介の頭を胸に抱き寄せた。
「でも、あんまり激しいのはちょっと……ね」
あぅ、と龍之介が呻く。
「ごめんなさい。今度から理性がぶっ飛ばないように気を付け……ても無理そうだから、ぶっ飛んでると思ったら、遠慮なく張り倒して下さい」


「じゃ、おやすみなさい」
別れの挨拶をしてから、美弥が目を閉じて唇を差し出す。
ニキビも黒子もない、白く滑らかな肌。
睫毛は意外と長く、扇状に広がって微かに震えていた。
綺麗に通った鼻筋に、何度キスしても飽きの来ないふっくらぷるんとした唇。
性格も悪くないし、可愛い部類に入る顔をしているのに、今まで彼氏がいなかったというのが実に不思議である。
お別れのキスをねだって目を閉じている美弥の顔を、龍之介はしげしげと眺めていた。
だがあまり眺めていては、美弥が不審がって目を開けてしまう。
龍之介は頬を掌で優しく撫で、包み込んだ。
「おやすみ」

ちゅ……

龍之介は優しいキスを落とし、美弥が満足するまで続けてから唇を離す。
目を開けた美弥が、う〜と唸り声を上げた。
「?」
「やっぱり離れたくないよぉ」
美弥は龍之介にしがみつく。
「うち、泊まらない?」
強烈な誘惑に、龍之介は危うく首を縦に振りかけた。
「……無茶は言わないように」
先程は木っ端微塵に吹っ飛んだ理性を必死でかき集め、龍之介は美弥を体から引き剥がす。
「おうちにお兄さんやご両親がいる状況で男を部屋に引っ張り込むなんてふしだらな真似は、しちゃ駄目です」
「いなかったらいいの?」
いたずらっぽい声を出す美弥の額に、龍之介は自らのそれをこつんとぶつける。
「もぉ美弥をめちゃくちゃにしたくないから、誘われても断ってます」
自然に目が合って、美弥は心臓を高鳴らせた。
「めちゃくちゃにしていーよぉ?」
照れ隠しで、美弥はそう言う。
「……本っ気で壊すよ」
喉の唸りにも似た声で、龍之介は聞こえないように呟いた。


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