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「ね。」
「ん?!あっごめん、何だっけ。」
「何でもないよ。ぼーっとしてるから呼んでみただけ。」
「あ、そっか。ごめん。」
「ははっ」
「…?何?」
「別に。」
「ねぇ?」
「ん?どした?」
「…やっぱいいや。」
「言いなさい。」
「私って、冷めてるかな?」
「いいや。何で?」
「友達に言われた。」
「冷めてはないけど…何かあった?」
「別にー何も。」
つまんない毎日ならあるよ。
「…ならいいけどさ。」
「うん。」
本当は聞いてみたかった。何故かよく分からないけれど、寂しい?って聞いてみたかった。あなたにも寂しい時ってあるの?私はあるよ。
「…寂しいなぁ。」
「えっ?」
「何かあったら言ってよ。何か、寂しいじゃん。」
「あ…うん。ごめん。」
いつも通りの風景。彼の横顔。幸せだ。なのに。
「ねぇ、何か、寂しくない?」
「…え?」
「いや、何でもないや。」
私は一体何が寂しいのだろう。1日が終わろうとしている事だろうか。太陽が姿を隠そうとしているから?夜がくるから?また一人で意味なく泣きたくなるから?そう…なのかな。
「寂しい…かな。そんな寂しそうな顔されたら。」
寂しそうな顔って…どんなだろう。今の私は、寂しそうなのかな。だよね、だって寂しいんだもん。
「何か言ってよ。」
「えっ…」
私、何を言えばいいの?
「…ごめん、ね。」
「そうじゃなくて!」
赤信号で止まった後、彼の眼差しが私の目を突き刺す。
「…大丈夫?」
「大丈夫だよ。」
即答。心配かけないように、今の私の精一杯の努力。
「…そう。」
信号が青になって、彼の顔は正面へ戻った。
良かった、泣き顔見られずに済むや。もう、迷惑かけたくないんだ。ごめんね。
「ねぇ。」
「ん?」
「おいで。」
そう言って私を抱き寄せた。
「いい子いい子。泣いていいから。」
あぁ、私は何が辛かったのだろう。
「ねぇ。」
「ん?」
「寂しいんだけど…そういうときどうするの?」
「…さあなぁ。オレあんま考えた事ないなぁ…」
「だよね。」
寂しいなぁ。誰かにギュッてされても、もう何を考えているのかすら分からなくなってしまった自分。嬉しいのか、悲しいのかさえも、分からない。まるで人形のようにじっとしているだけだ。ただ、何となく。
「…寂しいよ。」
視界がぼやける。
寂しいよ。
寂しい。
寂しいよ。
ねぇ…
「…うん、寂しいな。」

あなたにも寂しい時、あるんだね。

烏が鳴く。1日が終わるから。烏も寂しい時あるのかな。…あるわけないか、人間じゃないもの。ならいっそのこと烏のほうが良いかなぁ。
でも今は、人間がいい。もうちょっとあなたに抱きしめていて欲しい。


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