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刃に心
【コメディ 恋愛小説】

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刃に心《第18話・戦、始まりて…激闘編》-6

「び、びっくりした…」
「……ごめんなさい…」

刃梛枷がいつの間にか背後に立っていた。
再び分解したスナイパーライフルを筒に納めて、肩にかけている。

「やっぱり判らないな…気配の殺し方、巧すぎるよ」

刃梛枷は一見しただけでは判りづらいが、褒められて何処となく嬉しそうである。

「……その人は…?」

刃梛枷が疾風の脇に抱えられたザコに目を向けた。

「下剤混入未遂犯。とりあえず、しばらくは寝ててもらうことにした」
「……そう…」

それを聞くと、興味を失ったかのように呟いた。
疾風は小型無線の周波数を武慶の物に合わせる。

「武慶、やっぱり1年が掟を破りかけた。見張りを何人か送った方が良さそうだ…ああ、判った。今から戻る」

そう言って通信を終えた。疾風は刃梛枷の方を向いた。

「刃梛枷、そろそろ借り物競争と玉入れが始まるから戻ろう」
「……うん…」

シュバッ…と二人の姿が教室からかき消える。
教室の中は何事も無かったように静寂を取り戻していた。

◆◇◆◇◆◇◆◇

「よーい」

───パァン。

銃声と共に、刃梛枷を含めた8名は走り出した。
刃梛枷は無音で走る。現在1位。すぐ後ろに他の選手も付けているが、涼しげな顔色は変わらず、まだまだ余裕そうである。

『現在、2−Eが1位。だが、その後ろからは1−Jと1−Eが下克上を狙っているぞお!
そして、レースはいよいよ山場となる借り物に差し掛かるところだあ!』

コース上に散乱した封筒に手を伸ばす。
すぐに開いて中の借り物が書かれた紙を取り出した。
そこに書かれていたものを見て、刃梛枷は僅かに目を見開いた。
他の選手達も次々に紙を取り出していく。

『えー、手元の資料によりますと、今年は借り物ではなく、借り人競争だそうです♪
さあ、皆さんの取った紙には如何なる人物が書かれていたのでしょうかあ?』

選手達は急いで自らのクラスに戻っていく。

「誰か、猪木のモノマネできる奴いねえか!?」
「眼鏡美人!眼鏡美人、出て来てくれ!」

刃梛枷は他の選手を尻目に真っ直ぐ疾風の元へと向かった。

「……来て…」
「俺!?」

無言で頷くと、疾風の手を取ってゴール前のチェックポイントに向けて走り出す。
背後からヒュー、ヒューとか聞こえた気がしたが無視。
チェックポイントには体育祭運営委員と思しき女子生徒達が一人立っていた。側には学校で使われている机もある。


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