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魅惑のカテキョ。
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魅惑のカテキョ。-3

「さあ、もう5分以上経ちましたよ。始めましょうか。」
「え?」
「休憩は終わりですよ。」
何事もなかったかのように、彼はテキストを開き問題の続きをやるように促した。
(一体、何なの…?)
彼は何を言いたかったのだろうか。
所詮は高校生だと、見下したかったのだろうか。
そういう時期だから仕方がないと、言われてはいないがそう思われたのだろうか。
「朱璃サン?」
声を掛けられ、思わず彼の顔を見つめる。
心臓が、煩いくらいにドクドク鳴って壊れそう。
「口も手も動いてませんよ?」
フッと笑って、彼は言った。
「…惚れました?」
眼鏡の奥の黒い瞳が、からかうように細くなる。
誰が、少女漫画で鼻血出した男になんか…って思ったけど、
「あ…いや…」
言葉が、言葉にならない。
頭は完全に思考をストップさせてしまったようだ。
紡がなければならない次の言葉が、出てこない。
何故?
「先生は…した事あるの…?」
やっとの思いで出た言葉は、私の意思とは全く関係がなかったけれど。
でも、少女漫画で鼻血出すような男…どれだけウブなんだ?!
「何をですか?」
突然の質問に、先生はキョトンと首を傾げる。
「だから…その…」
しどろもどろに口を開くと、彼は何を言いたいのか察したらしい。
ペンを置いて、漫画を手に取った。
その作品の中で一番の山場であるだろう絡みのページを開き、私の方へ向けた。
「これですか?」
「……っ。」
目が、彼の目に釘付けになる。
反らしたくても、何かに惹かれているみたい…反らせられない、余裕の色を浮かべる瞳。
スッ…と、彼の手が私の頬に触れてきた。
ヒンヤリした感覚が、私を襲う。
そして、言った。

「教えましょうか?」

その指は、私の口をなぞり始めた。
ゾクゾクする感覚で、更に頭が麻痺する。
渇いた喉からは、音がでない。ただ、真っ黒な瞳を、吸い込まれるかのように見つめるだけ。
「…なに、を…?」
すると、彼は眼鏡を外して机に置いた。
私の唇を何度か指でなぞってから、顔を近付けてきた。
(キ…キ……)
キス、という単語が頭に浮かぶ前に私は目を閉じた。
「…したい、のですか?」
触れるとばかり思っていた彼の唇は、吐息が掛るくらいに近付いてきているだけ。
目を開けると、彼は口元を緩ませて微笑んでいる。

「教えて、くれるの?」

そう言うと、彼は目も細めて微笑んだ。

「もちろんですよ。」

微笑みながら、机に置いた眼鏡をかける。
その動作を目で追いながら、私は訊いた。
「どうして?」
「どうして、とは?」
「いや…何で教えてくれるのかなって…。」
「セックスに対してですか?」
「セッ…?!」
その4文字に敏感に反応した私の心は、みるみるうちに顔を赤くさせただろう。
そんな私を、さもおかしそうに見て彼は笑う。

そして、顔を近付けて耳元で囁くのだった。

「教師だから、ですよ。」

●End?●


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