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「保健室の小さな秘密」
【教師 官能小説】

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想いの行き着く場所-2

――え…?
ギュウギュウの人混みの中をぐいぐい引っ張られて窓際まで来てしまった。

周りの人もなんだなんだと顔をしかめる。
「す、すみません…」
私は訳がわからず、とりあえず謝罪の言葉を口にしながら、私を引っ張る主の元へとたどり着いた。

その人は、私を窓際と手摺の隅においやって、自分の体でガードしてくれた。黒いパーカーが目の前にある。

「すみません、連れが離れてたもんで」
よく通る、少し低めの声。恐る恐る見上げる。
私より頭一個分以上背が高い。シャープな鼻筋。涼しげな目元。横顔を見上げた瞬間に鼓動が速くなるのを感じた。

バカ、みとれてる場合じゃないでしょ!
お礼を…、と思って口を開きかけると。急にその人がこっちに向き直って屈んできた。
顔が近付いてくる。

「大丈夫?」
思わず息を止めて首を縦に振る。
「次降りた方がいいみたいだけど」
彼が形のいい顎をクイッと示した方向を見ると、恐らく痴漢行為をしていたと思われる四人組がこちらを睨んでいる。

でも、一人で逃げ切れるかな…。すぐタクシーに乗ればなんとか…。うん。そうしよう!

と、パニクる頭でなんとか考えていた時。電車内に次の駅の到着を告げるアナウンスが響き渡る。

心臓がバクンバクンいう。電車がホームに入り、速度を落とすのとは反対に私の心臓の鼓動は速くなる。

プシュー…

扉が開いた。
飛び出そうとした時、助けてもらったお礼を言っていないことを思い出した。
「ありが…」
と後ろを振り返って言おうとした瞬間、またもや腕を引っ張られた。
「きゃ…」
「早く!」
さっき助けてくれた人が早足で改札口に向かう。
二人とも定期を通して、改札口を出た後、階段に向かう。

ちょ…足早い…。

肩で息をしながら階段を昇りきる。彼の手が腰に回された。ただそれだけで、心臓が跳ねる。
「こっち」
私の動揺なんておかまいなく、彼は夜風をきって歩く。

「あの…」
「後ろ振り向かない方がいいよ」
「えっ?」
言われた通り、後ろを振り向かずに聞き返す。
「後ろからさっきの人たちがついて来てるから」

な、なんで…。
背筋に冷たいものが走る。

「お楽しみをジャマされたからじゃない?」

「お楽しみって…!」
さっきの気持ち悪さが蘇って来る。思わず怒りが言葉に出てしまった。

すると、少し驚いた様に、
「ごめん…無神経な言い方した」
あまりに素直に言うもんだから、
「あ、ごめんなさい。私も助けて貰ったのに…、つい」
段々人気のない道に来たせいか、後ろをついてくる四人の足音が近く大きく感じる。

もう、このままじゃ二人ともヤバイ。袋叩きにあって明日のニュースを賑わしちゃったり…。嫌な妄想が脳裏をよぎる。

こうなったら…。


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