投稿小説が全て無料で読める書けるPiPi's World

刃に心
【コメディ 恋愛小説】

刃に心の最初へ 刃に心 123 刃に心 125 刃に心の最後へ

刃に心《第15話・奉り祭り》-3

◆◇◆◇◆◇◆◇

そして、当日。
祭りの会場となる神社とその近くの公園は人で溢れている。
そして、人々の楽しそうな声に混じり、何処からともなく漂ってくる──ソースだろうか──香ばしい匂いが食欲中枢と胃をガンガンと刺激する。

「多いな」
「此所以外でも祭りをやってるらしいから、ハシゴしてる奴もいるんだろう」

会場の入口付近で男共が佇んでいる。
彼方と武慶は着流し。
残った、疾風と間宮兄弟は私服である。

「お待たせぇ〜♪」

そこに女性陣が合流。
こちらは皆一様に、浴衣を着込んでいた。

「おぉ!月路先輩!何と麗しい!」
「ふふ♪ありがとうございますね♪」

所々で金魚が泳いでいる浴衣の袖で口許を隠し、上品に微笑む。

「遅くなってごめんね。あっ、しぃ君、着流しなんだぁ♪かっこいい♪」

希早紀はデカデカと向日葵の咲いたものを着ていた。
絵柄同様の大輪の笑顔に武慶の顔が赤く色付く。

「兄貴、どうよ♪」

赤い南国の花が咲き乱れる浴衣を着た霞が楓の背中を押す。
楓は対照的に淡い水色の涼しげな浴衣だった。

「は、疾風…」

恥ずかしそうに頬を染める仕草に疾風は思わず、ドキッとした。

「あ、ああ…似合ってるよ」

辛うじてそう感想を述べた。
だが、楓は少し不満そうな表情をする。

「可愛いとか言ったらどう?仮にも許婚なんだから」

戸惑う疾風に霞がこっそりと耳打ち。
可愛いと言う台詞にまた少しドキッとしたが、此所はそう言った方が良いみたいだと理解する。

「その…可愛いよ」

すると、楓の顔が嬉しそうに綻ぶ。

「本当か?」
「あ、ああ」

目を合わせると何となく気恥ずかしい気持ちになる。
そんな時、疾風の服の裾がくいくいと引っ張られた。
見れば、刃梛枷が立っている。
黒字の浴衣にうっすらとそよぐ風鈴。

「……どう…?」

刃梛枷は静かに問い掛けた。


刃に心の最初へ 刃に心 123 刃に心 125 刃に心の最後へ

名前変換フォーム

変換前の名前変換後の名前