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光の風
【ファンタジー 恋愛小説】

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光の風 〈覚醒篇〉-5

今まで強気だった彼らの不安は「手遅れになっていないかどうか」だった。別の次元だから時間の流れは違う。彼らは全面的にシードゥルサに残ったカルサの仲間を信じて、ただ鍵と火の力を探し続けていた。

長い間カルサを見守っていたから分かる、彼らのカルサへの友情や信頼に賭けたのだ。

今、千羅の腕の中にはリュナがいる。奪われた者を取り返しに戻ってきた。

「行こう。」

千羅の声に瑛琳が頷き、シードゥルサに続く扉を開いた。開き始めた扉の隙間から光が溢れだす。

あまりに強い光に誰もが目を覆った。まるで光に捕まれたかのように体が吸い込まれていくのを彼らは感じていた。

「日向、手を!」

瑛琳の声がした瞬間、日向の腕は誰かに捕まれていた。何が起こっているか分からない。眩しすぎる光の中で体がバラバラにならないように必死で耐えぬくしかなかった。

そして日向は意識を手放してしまった。





「お父さん、お父さんどうしたの?」

「日向…お母さんの所にいっておいで…。」

「お父さん!」

「日向…。」

「お母さん?」





青々とした空に白い雲がよく映える。目を覚ました日向が一番最初に見たのは涙でにじんだ空だった。

一瞬見えた青い空は一度瞬きすると、薄暗い空へと姿を変えている。体をゆっくり起こし辺りを見回してみて分かる、ここは確実に地球ではない。

認識したあと再び気持ちをさっき見た夢の分析に移した。あれは何だったのだろうか?記憶が甦ったのか?

しかし相変わらず分からない事だらけの自分しか分からない。昔から確かな記憶は一つしかなかった。

自分の名前は日向。

「日向!」

声がした方向には日向を心配して駆け付けた瑛琳がいた。よく見るとここは中庭の様で薄暗い空にはガラスが隔てられている。

「良かった、はぐれたかと思ったわ。怪我は?」

「え?うん、大丈夫。千羅は?」

「無事よ、向こうで待ってるわ。」

「…着いたんだね?」

日向の問いに瑛琳は頷いた。ついに来るべき所に辿り着いた、その思いが日向の心を高ぶらせた。


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