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『学校の誕生日』
【教師 官能小説】

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『学校の誕生日』-1

「先生、先生ーっ……何で明日は、お休みなの?……」

クラスで一番の元気者の祐司が、頬を赤らめながら職員室の涼子の元に、駆け寄ってきた……ニコニコと微笑みを返しながら涼子が答える……

『明日はねっ、創立記念日と言ってね、学校の誕生日なのよ……』
「ふーん、学校の誕生日なのかぁ……うん、解った……じゃあね先生、さようなら……」

ペコリと頭を下げると、祐司は元来た様に、走り去って行った……


……涼子は28歳……公立小学校教諭、既婚……肩程まで伸ばした黒髪を、後ろで一つに束ね、目鼻立ちのはっきり整った美人と言える顔立ち、真面目な性格に、物腰の軟らかい語り口……誰からも、信頼を受ける人気の女教諭である……


……そお……明日は……学校の誕生日……


……あれは、去年の創立記念日の事……


『いってらっしゃい……気を付けてね……』
「ははっ、涼子に見送られるなんて変な感じだな……行ってきます……」

いつもは、揃って家を出る夫を、玄関先で見送る……涼子の胸は、ドキドキと高鳴っていた……


……別に家庭や仕事に、不満がある訳ではない……優しい夫に、可愛い生徒達、そして友好的な先生方……ただ……


 クローゼットの中から一番地味な服を選び出す……濃茶のパンツに白いブラウス……ドレッサーの鏡に映る自分の顔を見つめながら、涼子は自分自身に語り掛ける……


……私は、そんなに真面目な妻じゃない……私は、そんなに良い教師でもない……


普段より薄めの化粧を終えると、ふーっとため息を一つつき、黒いジャケットを羽織り、玄関の扉を開けた……


……涼子は、よい子だから……涼子は、出来た妻だから……涼子先生に任せておけば安心だから……


……親の言うことを良く聞くよい子?……夫に尽くす良い妻?……信頼の厚い教師?……


……本当の自分は、そんなんじゃない……周りの期待に答えるために……周囲の望む涼子を、演じているだけ……そお、子供の頃から……毎日少しずつ……ほんの少しずつ……歪みが蓄積されていく……


……やがて小さな歪みが……真面目な鎧をつけている自分自身が……涼子の心に重くのしかかっていた……


 ラッシュアワーを過ぎた駅は、人影も疎らであった……普段とは、反対のホームに立つ涼子……

暫らくすると、乗客のほとんど乗っていない電車が、目の前に滑り込んできた……

出入口に一番近い席に俯いて座る涼子……電車が駅に到着する度に、今朝から高鳴っている胸の鼓動が、ドンドン大きくなっていく……


 私鉄を二つ乗り換えて、一時間半程の道程……涼子は隣の県の、とある駅に辿り着いていた……

……ここなら……自分のことを知っている人などいない……


改札を抜けた涼子は、情報誌で調べた、あの場所に歩を進めていた……初めて見る町並みも、今の涼子の目には入らない……五分程歩き、ある建物の前で足が止まった……


 目的地は、この映画館……寂れた看板に、薄暗いホール……古く重い扉を開ける涼子……銀幕に映し出されていたのは……恋愛映画やサスペンスではなく……成人映画……ピンク映画が好きな訳では無い……と言うよりも、こんな映画を見るのは、産まれて初めての事であった……平日の昼間の閑散とした館内……


……別に欲求不満な訳ではない……堅く真面目な鎧を少し脱いで……蓄積された歪みを解き放ちたかった……少しの刺激が欲しかっただけ……事実、映画館の中に入るだけで、衝撃的だった……


 ジャケットを脱ぎ、中程の席に着くと、銀幕の中では、古びた倉庫の中で全裸にされた女が、男達に縛られ凌辱を受けていた……涙ながらに抵抗する女の悲鳴と呻き声が、スピーカーから大音量で館内に響き渡っていた……

……すっ、凄い……

ゴクリと生唾を飲み込む涼子……初めて見るピンク映画にしては、過激な内容であった……


バクバクと心臓が脈を打ち、涼子の目はスクリーンに釘づけになっていた……額には、うっすら汗が滲んでいた……


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