投稿小説が全て無料で読める書けるPiPi's World

恋人と親友
【悲恋 恋愛小説】

恋人と親友の最初へ 恋人と親友 0 恋人と親友 2 恋人と親友の最後へ

恋人と親友-1

あいつにだけは恋をしてはいけない。恋人よりも大切な親友だから…。




あの別れから一ヶ月。俺は道に迷った子供のように、何をしていいのかわからない日々が続いていた。気付けばあいつの笑顔、仕草を思い浮かべてる自分がいる。無駄なのに…。届く事は二度と無いのに…。

 「明日空いてる?」

 そんな抜け殻になった俺を彼女は頻繁に遊びに誘ってくる。俺の心情を全て理解している人は彼女しかいない。彼女といる時だけが唯一、心安らげる時間だった。

「晩飯でも食べに行くか」

彼女は片想いしてる人がいる。当然俺が知らない筈はない。俺ばかりと一緒にいていいのか?とも思う。自分の事はいいのか?と。

 「じゃあ2時にいつもの場所で」

 悪いと思いながらも彼女の優しさに甘えてしまう。そばにいてくれるだけで心強く感じる。周りから見ると仲良しの恋人に見えるだろう。でもそれは違う…。

 「了解です」

彼女の隣は居心地がいい。俺の傷が癒されていくのがわかる。とても大切な存在だ。

 「まだ駄目なの?」

 認めたくないが俺はあの人を忘れる事ができない。いつか、ふとした時に戻ってきてくれる。あらぬ希望を抱いている自分がいる。叶うわけがないのに、心のどこかで信じてしまっている。

 「惚れるのは一瞬だけど、忘れるのはすごく難しいよ」

 夕食の席でありのままの気持ちを話す。溜め込むより出した方がいい、という彼女の言いつけ通りだ。

 「まだ好きなんでしょ?急に忘れるのも無理だよね。でもね…、好きなら好きでいいと思う」

 彼女の言葉にどれだけ救われているか。しかし、時々考えてしまう。
 もし俺があいつを忘れたら
 思い出に変える事が出来たなら
 次に好きになってしまうのは彼女ではないか…。そんな考えが頭から離れない。友情が愛情に変わる時、俺達の関係は崩れてしまうのではないか。

 「今の俺に出来るのはお前に泣き付くだけだな」

 自嘲気味に話す。軽口を叩けるようになっただけでも進歩だろうか…。

 「話し聞く事くらいしかできないから…」

 こんなにも俺を心配してくれている。今はこの状況を受け入れたいと思う。俺にとって彼女は無くてはならない大切な人だから。



この気持ちが恋心だと俺は認めたくはなかった。ずっとこのままの関係でいたかったから…。


恋人と親友の最初へ 恋人と親友 0 恋人と親友 2 恋人と親友の最後へ

名前変換フォーム

変換前の名前変換後の名前