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いつかの紙ヒコーキ
【純愛 恋愛小説】

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いつかの紙ヒコーキ-8

俺が向かう先、そこは病院だった。
頭を混乱させながら走る。
電話の相手は優里の伯母さんだった。
話によると優里は車にはねられたらしい。
そしておばさんは、今から言う病院に来てほしいとだけ言った。
俺は急いでいたので、優里が今どんな状態なのかも聞けなかった。
だから病院に急いでいたけど、着くのが恐かった。
恐くて恐くてたまらなかった。


そして病院に着いた。
受け付けで場所を聞いて向かった場所、そこは集中治療室だった。
部屋の前で泣きながら、下を向いている優里の伯母さんと、その家族がいた。
「勇介君」
おばさんが俺に気付いて顔を上げた。
「一体何があったんですか?」
俺はおばさんの元に駆け寄って尋ねる。
「優里が信号を渡るときに、信号無視をしてきた飲酒運転の車にはねられたの」
その話を聞いて俺は唖然とした。


運命ってあるんだろうか?
だとしたらよっぽど皮肉な運命だ。
あいつはずっと苦しんできたのに、傷を抱えてきたのに。
なんであいつまでそんな目に遭わなきゃならないのか。
神様なんているんだろうか?いるとしたらきっとよっぽど最低な奴なんだろう。

その日、俺は優里の顔も見れずに帰った。
一応手術は終わり、今も集中治療室で寝ている。
もしかしたら今日の夜か明日が峠とのことだ。


家へと帰る俺、何もする気にはなれなかった。
ただ、昨日の彼女の笑顔が焼き付いて離れない。
あれが最後なのか。

これが夢だったらというはかない希望も、そういったことを考えられるという自分の意識がそれを打ち破る。

悔しくてたまらなかった。なぜ彼女ばかりが

そして俺はアルバムを引き出しから取り出した。
自分のクラスのページを開く、するとあの時、卒業式の日の屋上での時のように様々な思い出が駆け巡った。
そしてあの時のように涙が溢れる。
でも違ったんだ、あの時の涙とはまるで違った。

俺はアルバムの中の一ページを破り、紙飛行機を折った。
でもその紙飛行機は空を飛ぶ前に俺の手から床へと落ちた。


そして翌日の深夜、優里の伯母さんから電話があった。
優里が危篤だから最後に来てほしいと。
泣いていて何を言っているか中々聞き取れなかったけど

俺は頭の中は不思議と冷静だった。
こういう時が来るのがわかっていたのかな。

でも頭の中の冷静さとは反比例して、足は全力で病院へと急いでいた。

なあ優里
あの日吹いた風は、どこに行ってしまったのだろう?
新しい風に生まれ変わって、生まれ変わってまた、俺を包んでいてくれているのだろうか?

昨日折った紙飛行機は空を飛んではくれなかった。

俺はいつかまた、あの時の紙飛行機のように未来へと飛べるのだろうか


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