投稿小説が全て無料で読める書けるPiPi's World

ヴァンパイアプリンス
【ファンタジー 官能小説】

ヴァンパイアプリンスの最初へ ヴァンパイアプリンス 38 ヴァンパイアプリンス 40 ヴァンパイアプリンスの最後へ

ヴァンパイアプリンス7-3

月下はビックリして目を大きく見開いた。
「宏樹…手…」
宏樹の手は氷のように冷たかった。
(そりゃ…そうだよね…こんなに寒いんだもん…)
「わ、ごめんι冷たい?」
「うん…」
月下はまた泣きそうになった。
ってか泣いた。
「宏樹ぃ〜…」
「え?!何で泣いてんの!?」
宏樹はまた苦笑。月下の涙をガシガシと袖口で拭く。
「まったく泣き虫なお姫さんだなぁ〜」
「だってぇ〜」
月下は宏樹の手をぎゅっと握って、自分の口元に持っていった。
「はぁ〜」
そして、温かい息を吹きかける。
「少しはあったかい?」
「うん。」
宏樹は穏やかな顔をしていた。
「大丈夫だよ、月下。だって…その分お返ししてくれるでしょ?」
悪魔再来。笑顔の裏に黒いヤツがいる。
「え…とそれは…」
「学校終わったらうち来る?」
宏樹の視線が体に絡みつく。
月下はソレが意味する事を知っている。月下はおずおずと宏樹を見上げた。
「…嫌?」
「嫌じゃないけど…」
歯切れの悪い返事に宏樹は眉を寄せる。
「たまには…あたしの家に来ない?」
「…へ?」
宏樹は目をパチクリさせていた。
「月下ん家…?」
月下は『んッ』と頷く。
「ほら…いつも宏樹の家じゃん。だからさ」
「うん!!うん!!行く!!」
思った以上に宏樹は喜んでくれた。
(よかった…)
「…む?宏樹…何か…聞こえない?」
「ん?」
「「あ!!」」
チャイムが鳴り響いていた。笑
「たッ大変!!」
「月下ッ、走れ!!」

ー…
「お…はよ…」
月下はぜーぜーと肩で息をしながら教室の扉を開けた。
「あ、月下!!ギリギリ遅刻だよ〜」
「結ちゃん…」
「あ、走ったんだι」
月下は声が出せず、首だけ前後させる。
「うにゃッ!!」
ドスッと頭に心地よい重み。
「月下…」
「宏樹重い…よ」
「足速いんだねι月下って…」
どうやら二人で駐輪場からダッシュだったようだ。
「おはよ、水無月くん。」
「お…はよ、結ちゃん…」
「朝からお疲れだわ。」
「ふぎゃッ!!」
「わ!!」
月下、ついに力尽きた。
「月下、ごめんι」
「うぅぅ〜ι」
宏樹は月下をひょいっと起こす。
「お熱いこと。」
結はクスクス笑いながら、二人に二枚のチケットを出した。
「はい!!お熱いお二人にプレゼント!!」
「何…?」
月下は結からそのチケットを受け取った。宏樹と一緒に覗き込む。
「…おぉ!!」
「映画のただ券じゃん!!」
それは、期限がクリスマスまでの映画の無料券だった。
「でも…ね」
「ね…」
二人は顔を見合う。宏樹が代表として口を開いた。
「気持ちは嬉しいけど…結ちゃんと聖で行けばいいと思うよ?俺らの事は全然いいからさ。」
月下もうんうん頷く。


ヴァンパイアプリンスの最初へ ヴァンパイアプリンス 38 ヴァンパイアプリンス 40 ヴァンパイアプリンスの最後へ

名前変換フォーム

変換前の名前変換後の名前