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ヴァンパイアプリンス
【ファンタジー 官能小説】

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ヴァンパイアプリンス8-5

―…
「今日はありがと」
楽しい時間はあっという間にすぎる。
どれだけゆっくり歩いても、どれだけ寄り道をしてみても、気付けば月下の家に着いてしまっていた。
「うん…」
「ちょっと…待っててもらえる?」
「え?あ、うん。」
月下はちょっとだからっと念を押して、家の中へと消えていった。“ただいま-!!”っと元気な声をあげながら。
「ははッ、月下らしいや。」
と、宏樹は独り言をこぼした。言葉は白い息となり、冷たい外気に一本の筋となってながれる。
今まですぐ隣にあった温もりがなくなるというのは、何とも寂しい事だ。
離れた温かさの余韻に宏樹は手をギュッと握り締めた。
「あの-…どちらさん?」
急に声をかけられ、振り替えると、1人の青年がジャージ姿で立っていた。
「あ…」
(どっかで見たことある…)
強い意志を映す瞳。きゅっと結ばれた唇。何かを思い出させる。
「月下…」
「は?」
「あ、ごめん。陽太くんだよね?」
「なッ…」
どこかで見たことがあると思ったら、月下の部屋で見た写真でだった事に宏樹は気付いた。
「初めまして、だね。月下とお付き合いさせてもらっている水無月宏樹です。」
「あぁ…姉貴の。」
あからさまに嫌な顔をした陽太に宏樹は苦笑した。
「俺は…認めない。」
「え」
「月下の男なんて認めないからな。」
そう吐き捨てるように言い、陽太は家の中に入ろうとした…
「宏樹!!」
「ぶっ!!」
が、それは月下によって遮られた。
「いってぇ〜…」
月下の開けたドアが陽太の顔面に見事ヒット。
「あ、陽太おかえり。」
「…ただいま」
「お母さんが陽太遅い-って心配してたよ。」
「おう。…じゃ-な、水無月さん。」
「あ、はい。」
顔を押さえながら、陽太は家の中に入って行った。
(顔痛そうだったな…)
「宏樹、はい!!」
月下は陽太の事など少しも気にしていないようで、宏樹に笑顔で駆け寄る。
「クリスマスプレゼントなの!!開けてみて」
「ありがと。」
美味しそうなチョコレート色の包みを開くと、漆黒のマフラーが現れた。
「わ…」
「見てて…」
月下がマフラーを広げると、漆黒のマフラーの中に三日月のワッペンと黄色のビーズが浮かんでいた。
「…ちょっと恥ずかしいんだけどね…うぬぼれかもしれないんだけど…」
月下は宏樹にマフラーを巻きながら、照れたように口をもごもごさせて言った。
「宏樹のイメージが黒で、あたしの名前で月。離れてる時でも一緒にいれるようにって…思ったんだ」
「…うん」
「ちょっと恥ずかしかったかな…」
「何で?すごく嬉しい。これでいつも月下と一緒にいられるね。」
「そう思ってくれると嬉しいよ。」
月下は柔らかく笑った。
「じゃあ、今度は俺ね。」
「え?」
「何にしようかって迷って…これにした。」
「グロスだ…」
宏樹が月下にプレゼントしたのは綺麗なピンク色のグロスだった。
「ありがとう。…どんな顔してこれを買ったの?」
月下はちょっと可笑しくて、でもとても嬉しかった。
「秘密。ね、ちょっと貸して。」
「ん?付けてくれるの?」
「うん。付けてみたい。」
「いいよ。」
月下は目を閉じた。
「っ…んっ」
唇をはしる筆先が離れ、月下が目を開けようとしたら、唇にグロスとは違う感触。


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