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伊藤美弥の悩み 〜受難〜
【学園物 官能小説】

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高崎龍之介の悩み 〜初恋〜-5

「送ってくれて、ありがと。おやす……」
ふわりと、抱き締められる。
「……ごめん」
龍之介は、囁いた。
「僕の方こそ、ごめん。いつも、僕のわがままに付き合わせて……」
「龍之介……?」
「大事にしたいのに、美弥が欲しくて堪らなくて……つい……」
「龍之介……」
美弥は龍之介の腕を振りほどき、百八十度回転した。
向き合うと、龍之介を抱き締める。
負けじと、龍之介も美弥を抱き締めた。
「私……わがままじゃない?」
「うん。僕の方がわがままだよ……お願いだから、見捨てないで」
「うん……私は、見捨てないよ」
視線を絡め……二人は、唇を合わせる。
優しくて温かいキスに美弥は胸が締め付けられ、涙が溢れそうになった。
「あっ……」
さりげなく拭おうとした拍子に、ぽろりとこぼれてしまう。
「……美弥」
龍之介は唇を寄せ、溢れた涙を啜り取った。
「龍之介……」
驚いて、美弥は目を見開く。
涙も、止まってしまった。
「……びっくり、した」
「……変、かな?涙啜るの……」
美弥の涙を見たくないと思ったら、自然に啜ってしまったのである。
「分からない、けど……龍之介、優しいねぇ」
ぎゅうっとしがみつかれ、龍之介は心臓が飛び跳ねた。
「……あ。」
思わず、美弥は赤面する。
「ご……ごめん!か、帰るよ!このまんまじゃ……やばい」
膨脹した股間をなだめながら、龍之介は美弥から離れた。
「……龍之介って上半身はとんでもなく我慢強いのに、下半身は正直なのね」
「え?」
「なんかこう……そんなに私が欲しいのかぁって、妙な自信持っちゃう」
「……」
龍之介は赤面する。
本当に……美弥が欲しくて堪らない。
「っ……!!」
逸物が本格的に硬直しだしたので、龍之介は慌てた。
「あ……うち、誰もいなさそうなんだけど?」
龍之介の肩に手をかけ、美弥は囁く。
「ほら、窓に明かりついてないし」
「あ……」
囁かれて慌てる龍之介の様子が、面白くて愛しい。
「お兄ちゃんは友達と飲んでくるって朝言ってたから、たぶん今夜は誰も帰って来ないし……」
「…………………………上がってよろしいでしょうか?」
しばらくして、龍之介は申し訳なさそうにそう言った。
「はい、ようこそ」
にっこり微笑んで、美弥は言う。
――二人が例えようもない程に熱く濃密な時間を過ごした事は、言うまでもない。


結ばれる絆の強さに、日数はいらない。
僅か一月も経たないうちに龍之介に惹かれ、恋をし、心も体もきつく結ばれてしまった美弥は、そう思う。
「何かさあ……凄いムカムカする」
美弥の言葉に、友達は首をかしげた。
「……つわり?」
美弥は、下世話な冗談をかました友達をぎょろりと睨み付ける。
「龍之介が笹沢さんとにこにこしてるのが気に食わないの」
気付かれないよう気を付けて、美弥は言った。
「最近、妙に龍之介へ近付いてるし……」
――今は、体育の授業中である。
とはいっても担当教師にやる気は全くなく、体育館内で生徒達を適当に遊ばせていた。
龍之介は最初、男友達とバドミントンをして遊んでいたのである。
そこにクラスでも……いや、校内でも群を抜いた美少女である事を自他共に認める笹沢瀬里奈が声をかけ、にこにことバドミントンを始めていたのだ。
「あっ、腕にタッチした。ああっ、何よあの微笑みはっ」
隣でちりちりされているのは迷惑この上ないが、友達はにやにやしていた。
一月前には男っ気の全くなかった美弥が、龍之介の事でこんなにも嫉妬し、焦れている。
進歩、なのだろう。


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