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伊藤美弥の悩み 〜受難〜
【学園物 官能小説】

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高崎龍之介の悩み 〜初恋〜-10

エレベーターが、最上階に到着する。
美弥はエレベーターから飛び出し、きょろきょろと周囲を見回した。
いかにも高級そうな絨毯が敷かれた廊下はしんと静まり返り、物音一つしない。
「龍之介っ……!」
とりあえず、1003というプレートが掲げられたドアのベルを鳴らしてみる事にする。

ピンポーン……

「はい」
首を九十度曲げないと顔が見えない程の大男が、ドアからぬっと顔を出した。
美弥は一瞬怯むが、勇気を奮い起こして声を出す。
「立花恵美さんがここにいますよね!?龍之介を、返して!!」


美弥の声が、聞こえて来た気がした。
前立腺マッサージで強制的に勃たされた肉棒を、何とか恵美の魔手から遠ざけようと奮戦している最中に。
「めてっ……は……しなさっ……!」
とぎれとぎれに聞こえる声は、間違いない。
「み……や……?」
「通してあげて」
下半身裸というとんでもない格好で龍之介に跨がっている恵美は、入口に向かってそう声をかけた。


「かしこまりました、お嬢様」
いかにも屈強そうなボディガードは、体をずらして美弥のために道を空けた。
その隙間から、美弥は部屋に飛び込む。
リビングから繋がる、奥のベッドルーム。
そこに、二人はいた。
「いらっしゃい」
ふしだらな格好をした恵美が、今まさに龍之介と繋がらんとしている。
「りゅ……うの……」
かすれた声を出す美弥の事を見て、龍之介は苦渋に満ちた表情を浮かべた。
「苦労したのよ。龍之介ったら、なかなか勃ってくれないんですもの……」

くちゅ、くちゃっ……

二つの粘膜が擦れ合う淫らな音がして、美弥は混乱する。
「あんまりやりたくなかったけれど、前立腺マッサージで無理矢理勃たせちゃった」
「やめて、よぉ……」
「勃ってもすぐにイカなかったから、この子相手にたっぷり抜いてるのね?」
言いながら恵美は、浅く腰を落とした。

ずぷっ……

と、龍之介が恵美の中へ潜り込もうとしたその時。
「えっ?」
恵美が間抜けな声を出す。
「龍之介ぇ……!」
美弥は、安堵の声を漏らした。
いかなる理由かは不明だが、龍之介が萎えてしまったのである。
「嘘っ……!?」
「……昔はいざ知らず、今の僕じゃあ美弥以外の女は抱けないよ」
悪夢の再来が文字通りに水際で阻止され、龍之介は内心で安堵しながらそう言った。
「ましてそれが恵美、あなたならなおさらね」
「龍之介ぇっ……!」
美弥は駆け寄り、龍之介の拘束を解き始める。
呆然としている恵美は、龍之介の傍にいながらあっさりと、それを許してしまった。
「あなたに犯された後……まさか僕が傷付きもしないで安穏と暮らしているとでも、思ってた?」
くきくきと手首を鳴らしながら、龍之介は言う。
「冗談じゃない。ここ数年、僕は重度の女性不信に悩まされた……美弥に出会うまで」
龍之介は、美弥を抱き寄せた。
「おまけに兄さんの事は僕に会うための口実で、僕の体が目当てだって?よくもまあ、いけしゃあしゃあと……」
吐き捨てる龍之介に、美弥はしがみつく。
龍之介の下半身は裸のままなので、あまりしまらない光景だが。
「二度と、僕達に近付くな。いや……もう二度と近付かせないような手段を、取らせて貰う」
龍之介は、凄みのある笑みを浮かべた。
「未成年誘拐に強制猥褻で、あなたを訴える。ストーカー規制法にも抵触していそうだし……洗い出せばまだまだ罪状が出そうだ」
「なっ……!」
恵美が凍り付く。
「あなたは金持ちだから家で優秀な弁護士を雇っているのだろうけど……こんな不名誉な罪状で訴えられれば、周囲にどんな噂が流れるかな?」


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