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死のゲーム
【推理 推理小説】

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死のゲーム〜オープニング-1

その電話があったのは、昨日の夕方の事だ。
『さぁ、私とゲームをしてもらおうか』
俺が携帯に出て一言目がこれだ。最初は全く意味が分からなかった。
「は?何言ってんの?てかお前誰だよ」
『君に拒否権は無いんだよ?新庄隼人君。君は命を賭けたこのゲームの大事なプレイヤーだからね』
命を賭けたゲームとか言われても、俺には全く危機感が沸かなかった。
「あのさ、そんな事言われて信じる奴がいると思うか?悪いがイタズラなら他をあたってくれ」
俺が電話を切ろうとすると、最後に相手は一言だけ俺に告げた。
『今夜7時丁度、君の学校の駐車場に行けば分かるよ』
電話は向こうが切ったようだ。
しかし一体何だというんだ?番号は携帯の電話帳に入っていないものだし、声も機械で変えているらしく、相手がどんな奴なのかさっぱり分からなかった。
「行かなくてもいいよな……」
 俺は普通にそう考えていた。こんな怪しい電話の主の言うことを、素直に聞けというほうが難しいというものだ。
 最初はそう思い、家でのんびりしようとしていたのだが、ここで思わぬ事態が起きた。
とは言っても大した事ではなく、妹の葉月が学校に忘れ物をしたから一緒に来てほしいと俺に言ってきただけなのだが。しかし、時間を考えると7時には間違いなく学校にいる事になる。例の電話の主の言うとおりになるのは癪だったが、妹を一人で行かせるわけにもいかず、俺は葉月と共に家を出た。


 俺達兄妹は同じ高校に通っている。俺は二年、葉月は一年生だ。高校は歩いていける距離にあり、俺は葉月と毎朝歩いて通っている。おかげで俺はシスコンだという噂が流れてしまっているが……。
 念のため言っておくが、どちらかと言うと葉月が俺と一緒に行きたがっているのであって、俺は断じてシスコンではない!……多分。
 まぁそんなことは置いといて。季節は秋も終わりに近づき、外はもう薄暗いので俺は葉月に付いてきた訳だ。学校に着き、何とか校舎に入った俺たちは葉月の教室へと向かった。
「葉月、探し物は見つかったか?」
「ちょっと待って……あ、有った!」
 葉月の探し物は数学のノートだった。どうやら明日までの宿題があるようだ。
「お兄ちゃん、帰ったら宿題教えてね」
 文系である葉月は、理系教科が得意な俺によく宿題を教えてもらいにくる。俺も自分の勉強になるから教えているのだ。
「よし、じゃあとっとと帰ろうか」
 俺たちは昇降口へと向かう。昇降口は外からは入れないが、中からなら自由に出られるようになっているのだ。先ほどは別の入り口から入ったのだ。
 昇降口からは駐車場が見える。俺はさっきの電話を思い出し、携帯で時間を確認する。
「あ、もう7時か……」


 ドーン!!


突然だった。物凄い爆音が辺りに響き渡ったのだ。いきなりのことで、俺も葉月も戸惑ってしまっている。
「まさか……葉月、ちょっと来い!」

 俺は葉月を連れて駐車場へと向かった。今この状況で葉月を一人にしておきたくはなかった。
 駐車場では一台の車が、文字通り『火の車』となっていた。おそらくこの車が爆発したのだろう。
「葉月、消防車を呼んでくれ。あと警察も」
 何となくだが予想は出来ていた。俺の携帯が鳴り出すことを……。
 携帯が震える。番号はさっきと同じ。電話に出ると、やはり機械の声が聞こえる。


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