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あなたにレケナウルティアの花束を
【初恋 恋愛小説】

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T〜港町に咲くインカルビレア〜-3

「すみませんでした!私、気持ちも顔も下向きで、前方不注意だったと言いますか、何と言いますか…」
「いえいえ、私の方こそごめんなさいね。このダンボール箱のせいで前がよく見えなくて」
「あ、そういえばダンボール箱の中身は大丈夫ですか?」

私はおばあちゃんを助け起こしながら尋ねる。
おばあちゃんが箱を開けるとそこにはいくつかの鉢植えが入っており、そのそれぞれにピンク色の可愛らしい花がいくつも咲いていた。

「ええ、鉢が割れたり、茎が折れたりしてないから大丈夫よ」

そう言って微笑むおばあちゃん。
その微笑みによって私の心の中に安堵が広がっていく。

「よかったあ〜おばあちゃんにも箱の中身にも何ともなくて。それにしても可愛らしくて綺麗な花ですね。何という名前なんですか?」
「この花はインカルビレアっていうのよ」
「インカルビレアかあ〜いい名前ですね、って何してるんですか!」
「何って…」

おばあちゃんは再び重そうなダンボール箱を抱え上げようとしている。

「おばあちゃん、箱は私が持ちますよ。お詫びの意も兼ねて」
「いいのかい?」
「はい!」
「じゃあお願いしようかしら」
「任せてください!」

無い胸を張って言ったものの、実際に持ってみると……お、重い……
苦しげに顔をしかめている私を見て、

「やっぱり私が持ちましょうか?」

と言ってくれるおばあちゃん。
しかし私は意地を張り、虚勢を張り、そしてまた無い胸を張って、「大丈夫ですから」と、その甘美な申し入れを断った。
常日頃からお母さんに「自分の言ったことには責任を持ちなさい」と言われ続けてきたからだ。
それでもやっぱり重いことには変わりなく、結局、私の様子を見兼ねたおばあちゃんの、半分ずつ持ちましょうという提案に私が風を受ける旗のようにいとも容易くなびいてしまったのは言うまでもない。




「着きました。ここです」

おばあちゃんと一緒に箱を運びながら歩くこと約15分。
着いたそこはお花屋さんだった。

「お花屋さんなんですか?」
「ええ、そうなの。ここまでありがとうね、えっと…」
「あ、ティア、ティア=ルクセンバルトです」
「ティアちゃん、ありがとう。私はクィレル。みんなはクィレルさんとかクィレルばあさんとか呼んでいるわ。よろしくね」
「こちらこそよろしくお願いします、クィレルさん」
「ところで今からお茶にしようと思うのだけれど、ティアちゃんもどう?」
「お呼ばれしたいのは山々なんですが、私は仕事を探さないといけないので…」

そこまで言った所で店内に貼ってあった一枚のチラシが目に飛び込んできた。


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