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ヴァンパイアプリンス
【ファンタジー 官能小説】

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ヴァンパイアプリンス3-2

「…月下、あたしに気を使ってくれたんだね。ありがとう」
結は笑顔で、月下の頭を撫でた。
「…結ちゃん。」
月下は結と親友でよかったと、心から思った。
「結ちゃん、幸せ?」
「うん…幸せだょ。月下は?」
「幸せだょッ」
「よしッ!」
結は嬉しそうに笑った。
月下は自然に涙が出てきた。
「やだッ…泣かないでょ。月下…」
結の目にも涙が浮かんでいた。
「だって〜…嬉しいんだもんッ」
月下も結も友情を確かめ合った。
「ょしッ!友情の証に新しいホラー映画見よう!」
「え…何でそうなるのぉ!?」
先程の美しい涙は何処へやら…。
数分後、月下の目には違った涙が溜まっていた。
「ギャーーーーー!!」
「月下ッ…痛いからッ」

「…。」
「ハイ。これが自由の女神クッキーでぇ、国旗ケーキ。これ、雅人にあげてなッ!あ!コレは宏樹にッ!」
宏樹の前にはずら〜ッと父が持ってきたおみやげの数々が並べられていた。
「親父…」
「ん?」
「久しぶりだな…」
宏樹は微笑んだ。父も顔いっぱいで笑った。
「ああッ」
「ってか何で日本に?」
「久しぶりに、お前らに逢いたくなったから来ちゃった♪てへッ」
親父はとてもチャーミングだ。笑 
「…おふくろは?」
「あぁ〜…うん。あっちにいる」
宏樹は悟った…。親父の慌てた様子から…。親父はおふくろに追い出されたのだと。
「…また喧嘩したのかょ。」
「…バレた?」
父は苦笑した。
「いゃ、今回は俺何も悪いことしてナイんだょ!!それなのに…紗詠子がぁぁ…」
「泣くなよ、親父…」
宏樹も苦笑し、父の持ってきたおみやげの一つをあけた。
「そういえば…」
父は宏樹のあけたお菓子を一つつまんだ。
「ここらへんも、町並み変わったなぁ。父さん、迷っちゃったょ。はっはっはッ」
「ふ〜ん…」
宏樹は興味なさげに、返事をした。
(あ、コレうまぃ)
「でな、優しい子がいてさぁ。教えてくれたんだょ」
「ふ〜ん…」
宏樹はもう一袋あけてみた。
(コレは…何だ?)
「その子、宏樹の匂いがした。」
「え…」
(月下じゃんッ)
父は微笑んだ。
「お前も彼女が出来たのか…。」
宏樹は顔を赤くした。無言でお菓子を頬張る。そんな宏樹を見て、父は微笑ましく思った。
「父は嬉しいょ!!きっと紗詠子みたいに素敵な女性なんだろうなッ」
「そう思うなら早く帰れよ…」
宏樹は席を立ち、キッチンに消えた。
「…ふふッ‥初々しいねェ」
―ピンポーン
「おゃ、誰だろう?はいはーぃッ、親父が出るょ〜」
―ガチャ
「あ。」
「あ〜ッ、お嬢さん」
父がドアをあけると、ソコにはお嬢さんこと、月下がいた。
「親父、勝手に出るなよッ」
「親父ッ!?ぇッ?お父さん!?」
「は〜ぃッ!どうも、宏樹父です」
「あ、どうも初めましてッ!初めてじゃナイですけどッ。峰島月下ですッ」
毎度の事ですが、月下はパニクり中です。
「月下、落ち着けッ」
宏樹が月下を落ち着かす。
「ははッ!おもしろいお嬢さんだッ。まぁ紗詠子には負けるけどなッ」
父は月下の肩をバシバシ叩きながら、妻を自慢する。
「あ、紗詠子は俺のかみさんね♪」
「はぁ…」
(い…痛い)
「親父…止めてくれ」
宏樹は父の手を止めさせた。
「おっと、失敬!…月下さん」
父は真面目な顔をした。
「はい?」
「宏樹の事、ヨロシク頼むな…」
月下は驚いて目を見開いたが、次の瞬間、宏樹父を見て微笑んだ。
「はいッ!!」
「…じゃ、邪魔者は退散しますッ!」
父は安心したように微笑み、ドアを開けた。
「おッ親父!?」
「ばぁちゃん家行ってくるッ!じゃ、月下さん。ごゆっくりッ」
父は嵐のように、去っていった。


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