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ヴァンパイアプリンス
【ファンタジー 官能小説】

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ヴァンパイアプリンス2-3

(ココ…だッ)
月下は宏樹の待つ部屋に付き、障子に手をかける。
(何て言って入ればイイんだ…!?)
月下はいまいち勇気が出ず、部屋の前で止まった。
(どぅしょぅ…)

宏樹はじっと月下を待っていた。
(月下、まだかな〜)
宏樹が何気なく障子を見ると、影が動くのがわかった。
(月下かな?)
宏樹は、月下が自分から入ってくるのを待ったが、中々入ってこない。
(焦れったい…)
宏樹は待ちきれなくなって、障子を開けた。
「月下、影でわかッ…」
宏樹の目の前には、見たことのナイ月下の姿があった。
「あ…宏樹。」
月下は恥ずかしそうに俯いた。
「…驚いた。月下凄く大人っぽい…」
「え?」
「浴衣も良く似合ってる。」
「…本当?」
宏樹は月下の耳元で囁いた。
「…キレイだ」
月下は宏樹の腕に包まれた。
宏樹は少し月下の感触を楽しむと、月下に言った。
「もう一つ、ワガママ言っていい?」
「何?」
「月下とデートしたい」
「そんなのワガママじゃナイよ…」
月下は宏樹の背中に手をまわす。
「…大丈夫だょ。まだまだワガママ聞いてもらうからッ。楽しみにしててね…?」 
宏樹の顔には妖笑が浮かんでいた。
(…宏樹の後ろに悪魔が見える…)
「…あ。宏樹、もう5時になっちゃうケド…デートって…」
月下が宏樹の胸から顔を上げて、時計を確認する。
「うん。丁度イイ時間だね。」
「丁度イイの?」
月下が無意識に上目で宏樹を見つめる。
「…ソレ、無意識にやってんの?」
「??」
「ホントに…こっちは我慢するの大変なんだから…」
―ちゅッ
「…!?」
「今はおでこで我慢してあげるッ!…今は」
宏樹は月下のおでこにキスを落とし、月下から腕を離しす。
「ちょっと準備があるから…先に玄関行ってて。」
宏樹は不意打ちに弱い月下にそう言い残し、部屋を後にした。
「もッ…宏樹ってば…」
月下は宏樹にキスされたおでこが熱くなっている事に気付いた。
「…おでこだけじゃ物足りないょ…」
月下の心にも少しずつ宏樹を求める気持ちが芽生えていた。


(あ…。そういえばあたしサンダル履いてきたんだ…)
月下は玄関に着いて、下駄がナイ事に気付いた。
(…どうしょぅ…)
「月下ッ」
「キャッ!!」
後ろから抱きつかれ、月下は思わず大声を出す。
声の正体は…みなさんの予想通り、雅人だった。
「…雅人くん…」
雅人は月下の反応にむッとする。
「そんな露骨に嫌な顔すんなょ〜…淋しいじゃん」
「…ゴメン。そんなつもりじゃ…」
雅人は月下の頭を撫でる。
「ハハッ!月下は素直だなッ」
「何ソレ。年下に誉められてもなぁ〜…」
月下は苦笑いで返す。
(やっぱり似てる…)
笑った時の水無月兄弟は似ていると、月下は思った。
「あ。そうそう。コレ奈美から。」
雅人は月下に箱を渡した。
「何?」
月下は雅人から箱を受け取った。
「下駄だと思うょ。持ってきてナイだろうからって。」
月下は箱を開けた。
中には、黄色の鼻緒の下駄が入っていた。
「…雅人くん。」
「ん?」
「奈美さんにありがとうって言っておいてもらってイイかな」
「イイょ。」
月下はさっそく箱から下駄を出し、履いてみた。
「ぉぉ!ピッタリじゃん」
「うん!」
下駄を用意してくれただけでなく、色までも考えてくれた奈美の優しさが、月下には嬉しくてたまらなかった。
「月下」
愛しい人の声に気付き、月下は後ろを振り返る。
「宏樹!!」
「お待たせ」
宏樹は甚平を身につけていた。月下は驚いて宏樹の近くまで走って行く。
「準備ってコレだったの?!」
「うん。変かな?」
宏樹が少し照れたように、頭をかいた。
月下は宏樹をじーっと見る。
そして、嬉しそうに笑った。
「…全然。すごく似合ってる。」
宏樹は照れ臭そうに笑った。
「ハイハイ、お熱い事」
雅人が二人に口を挟む。
「そろそろ行かないと始まるぞ。」
そう言い残し、雅人は部屋に入っていった。
「始まる?」
月下は首をかしげる。
「うん。お祭りがあるんだ。さ、行こう」


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